今季新人ながら10勝をマークし、日本シリーズでも活躍したDeNA浜口遥大投手(22)が12日「JFA(日本サッカー協会)こころのプロジェクト『夢の教室』」の一環で神奈川・大和市立つきみ野中学校を訪問。

 「夢先生」として教壇に立ち、夢や目標を持つことの大切さを訴えた。

 浜口は前半は体育館でチームワークを養うゲームに生徒たちと参加。後半は教室で授業を行い「人に教えるの? 初めてですね。今シーズン1番緊張しました。日本シリーズより緊張しました」と笑顔を見せた。

 浜口は授業の中でこれまで経験してきた数多くの挫折を告白。いかにしてそれを乗り越えたかを説明した。

 初めての挫折は故郷佐賀での中学時代。「中学では体が小さくて通用しなかった。投手をクビになりました。試合にも全然出られない。高校では野球をやめようと思っていました」という。だが三養基高に進むと、同じ中学の先輩から誘われて再び野球部へ。

 「オレの高校は全然強い高校じゃなくて、毎年初戦敗退とか2回戦敗退みたいなチームでしたけど、県ベスト8まで行ったんです。高校でまたピッチャーをはじめて、野球がすごい楽しい。そしたらもっとうまくなりたいと思うでしょ。それでチームが強くなれば楽しいし、うれしいからもっと頑張ろうって。そういう良い循環がありました」。

 小学校の卒業文集に書いた「プロ野球選手になる」という将来の夢を、高校で再び思い出し「そのためには大学では強い大学に行こう」と神奈川大へ進学。2年春に全日本大学選手権で準優勝。大学日本代表にも選ばれ「プロ野球選手になる」ことが夢から確固たる目標となった。

 しかしその年の秋にチームはまるで勝てなくなり、リーグ戦6校中で最下位の同率5位に沈んだ。「大学の仲間と、良いことも悪いことも言い合って意見交換。ぶつかり合いじゃないけど口げんかみたいになって。でも仲間の存在ってすごく大きくて、今思えば良いケンカができたかなと。その時は『なんだよ、あいつ』みたいなのがありましたけど」。すると大学3年の春にはリーグ戦で優勝し、全国ベスト4まで進出した。

 その後、プロの若手選抜チームとの対戦でボコボコに打ち込まれたこともあったが「こんなに差があるんだ」と自覚。「どうやって盛り返そうかと考えた時、自分の長所を伸ばすことを考えました。それと自分で厳しい環境を選んで、自分を追い込んで練習しました。そうしてDeNAにドラフト1位で入団することができました」という。

 浜口は子供たちに1番伝えたいことについて「良い環境を自分で選ぶ」ことを挙げた。「目標をたてて、それに何が1番良い環境かを考えて選んでほしい。僕は高校で野球の強い学校に行ったわけじゃない。強い高校だったら(試合に)出られなかったかもしれない。逆に、プロを目指そうと大学では強い大学を選んだ。良い環境というのは、自分が頑張れる環境」と説明していた。