西武中村剛也内野手(34)が12年以来となるバットの形状変更を決めた。昨季は腰痛などの影響もあり、115試合の出場で打率2割1分7厘、27本塁打、79打点と不本意な成績に沈んだ。希代のホームランバッターが、新たな相棒を手に、巻き返す。

 長距離打者のバットは「グリップが細めで長さも長く、ポイントが先端方向」が一般的だが、中村のバットは異なる。長さは標準的な33・5インチで、重さは球界でも最重量級の940グラムある。グリップも含めて全体的に太い。契約するSSK社の担当は「ポイントも手元側。ホームラン打者のヘッドバランスとは真逆と言えるくらいです」と話す。

 重い分だけ制御は難しくなるが、それが「自然と下半身中心に、体全体でスイングできる」(中村)ようになるという。ソフトバンク柳田やDeNA筒香は880グラム前後のバットを使用。昨季の首位打者、西武秋山は長さは同じ33・5インチで、895~900グラムを使う。スラッガー、アベレージヒッターと、現在は900グラムを切るバットが全盛の中、中村のバットは一線を画す。高く舞い上がる独特の打球軌道は、そんな相棒が生み出している。