楽天のドラフト1位・近藤弘樹投手(22=岡山商大)が13日、新人合同自主トレ4日目で初めてブルペン入りした。変化球も交えながら、気持ちのこもった34球。昨年アドバイスをもらった亡き星野仙一氏(享年70)の期待に応えるため、2月1日のキャンプ初日に全力で投げられる体を作っていくことを誓った。

 シューっと音をたて、糸を引くようにボールがミットに吸い込まれていく。指にしっかりとかかった真っすぐは、さすがドラフト1位の球だった。近藤はこの日、2軍施設のある仙台・泉グラウンドの室内ブルペンで捕手を立たせたまま34球。時折「感覚を忘れないため」とカーブ、チェンジアップ、フォークも交えながら投げ込んだ。

 投球練習後は「(指に)かかる球とかからない球がはっきりしていた。でも、この時期にしては自分の納得のいく球がちょっとあった」と笑顔でうなずいた。まだブルペン初日とあって、仕上がり自体は2~3割にも届いていない。それでも目標の開幕1軍へ向け「投げるために必要な筋肉は投げないとつかない」という男が、しっかりと第1歩を踏み出した。

 阪神や、北京五輪を戦った星野ジャパンでスコアラーを務めた三宅博氏が母校・岡山商大のコーチ。その縁で昨年、星野氏と話す機会を得た。プロで活躍するにはケガをしないことが大事だというアドバイスは、しっかりと心に刻まれている。この日あらためて「僕と楽天という球団の縁をつくってくれたのは星野さん。期待してくれていた星野さんに恥ずかしくない成績を残したい」と強く誓った。

 いわゆる“野球エリート”ではない。大学3年秋には日本代表候補に入ったが、合宿に参加しただけで落選。悔しい思いをした。「でも残れなかったのは自分の力が足りなかったから。そこからです。変わったのは。負けたくないんで」。その反骨心も星野氏をほうふつとさせた。

 キャンプを目前に「清宮フィーバー」は過熱する一方だ。近藤は「高校生であれだけ騒がれて、プライベートもないのはかわいそう。良い意味でそっとしておいてあげてほしい」と思いやった。その上で「結果がすべての世界。まず自分が目立つことを考えないといけない。今年の新人の中で一番目立てるように頑張りたい」。プロの結果で清宮から話題をさらう意気込みを示した。【千葉修宏】