DeNAが、今季からプロ野球史上初めてとなる「チーム付き英語教師」のポストを新設した。球団スタッフの英語力向上のため公募し、数学の元高校教師の平川ブライアン氏(42)が就任した。シーズンを通してチームに同行し、いつでもどこでも英会話教室を開催。宜野湾キャンプから始まり、スタッフの一部が受講中だ。球団は将来的には選手にまで広げる考えで、日本にとどまらず、国際色豊かなチームを目指す。

 駅前留学ならぬスタジアム留学が、DeNAで始まった。沖縄の風を受けながら、グラウンド脇やベンチ裏、練習後のチーム宿舎で、英会話教室が開催される。新設のチーム付き英語教師に就任した“ブライアン先生”が、隣にいればレッスンスタート。何げない会話から、語学力が磨かれる。プロ野球史上初の試みとして、シーズンを通してチームへの同行が決定。球団主導でチーム全体の英語力をアップさせる。

 ラミレス監督をはじめ、外国人選手のほとんどが、英語でコミュニケーションを取っている。スタッフ全員が直接話すことができれば、時間短縮し意思疎通もスムーズになり、外国人選手のストレス減にもつながる。現時点では試験的に広報、マネジャーの一部スタッフ7人限定で行われているが、将来的にはコーチ、日本人選手へと広げていくことで、国際化を図る。

 IT企業を母体とする球団らしい異例の取り組みは、将来を見据えている。球団幹部は「まずは1年やってみて、3年でまともな状態にしたい。イメージは10年後、日本の1球団という枠を飛び出せれば。そのためのとっかかり」。オフの中米、オーストラリア、台湾などで開催されるウインターリーグに参加する若手選手にとって大きなプラスとなり、外国人選手だけでなくスタッフの受け入れ態勢も整う。同球団幹部は「ネクストステップは人材の交換」と、海外球団との人事交流まで思い描く。

 ブライアン先生は日系米国人の父を持ち、夫人は日本人。生まれ育った米国では高校の数学教師を務め、2年前から日本で暮らしている。授業ではスタッフの英語レベルに合わせ、日本語を交えながら教えていく。「今は、例えば食事会場のテーブルで、日本語と英語とスペイン語を話す人がそれぞれ分かれて座っている。僕はそのテーブルの間に橋を懸けたい」。世界基準の球団を目指し、DeNAがその第1歩を踏み出した。【栗田成芳】