昨夏の敗戦を脳科学で分析する。昨春のセンバツを制した大阪桐蔭・福井章吾捕手(3年)が5日、今春進学する東京6大学リーグの慶大の始動に合わせ、横浜市内のグラウンドでの全体練習に参加した。大阪桐蔭から慶大への入部は史上初。環境情報学部で勉学に励む予定で「脳科学の研究をしたいです。脳や目、耳などから入る情報が、パフォーマンスにどう影響するのかを知りたいです」と目を輝かせた。

 脳科学を研究テーマに挙げた理由は、昨夏の甲子園の3回戦で敗れた仙台育英戦にある。1点リードの9回裏。仙台育英のチャンスが広がるにつれ、観客がタオルを回し、スタンドが仙台育英ムードに一変した。2死満塁から、サヨナラ打で春夏連覇を逃した。「(タオル回しは)すごかった。脳科学を学んで、どんな状況でも、力を発揮できる方法を見つけたいです」とプラスに変える。

 野球でも目標は明確に挙げた。「ヒットを意識して。(通算)100安打をテーマとして、やっていければ」と話した。大阪桐蔭で主将を務め、大久保秀昭監督(48)からもキャプテンシーを評価される福井は「4年後は主将になって、春秋連覇を達成したいです。日本一が目標です」と力を込めた。【久保賢吾】

 ◆全国高校選手権3回戦・大阪桐蔭1-2仙台育英VTR 1点リードで迎えた9回、大阪桐蔭は簡単に2死を取ったが、中前打、四球で一、二塁のピンチ。次打者の打球は平凡な遊ゴロだったが、送球を受けた一塁手がベースを踏めずにセーフ。仙台育英のアルプス席だけでなく、一般客もタオルを回す異様な雰囲気の中、満塁からサヨナラ適時二塁打で試合終了。