楽天が「フライボール革命」を起こして強打のパ・リーグを制す。沖縄・金武町で2次キャンプ中のチームは、18日のフリー打撃で強振してフライを打ち上げる練習に注力。昨季メジャーで提唱され、本塁打激増の根拠となった「フライボール革命」にのっとり、フルスイングの飛球を連ねた。データを集積する「トラックマン」を5年前に導入した先駆者が、理詰めで日本野球の風習を取り払う。

 楽天のティー打撃に新アイテムが加わった。ゴム製の棒にボールを置く従来型に加え、ボールの上半分をゴムに植え込む「釣り鐘型」の置きティーを用意。今江、岡島らが積極的に使い、強い球筋のフライを重ねた。練習終了時、内野に転がっていたボールは3個。意識が浸透しつつある。

 昨年暮れ、ウインターミーティングの会場で開催された新製品展示会で目を付けていた。長年データ解析に携わる球団関係者が「ボールの上が見えないことで、バットを下から入れ、バックスピンをかけて飛ばすイメージを付ける狙いがあります」と説明。「アストロズが最初に導入したと聞きます。フライボール革命ですよね」と加えた。

 日本よりはるかにデータ化が進むメジャーでは昨季、分析官が「打球速度は時速158キロ以上、打球角度は25度~35度で、最もホームラン、ヒットが出る」との結論を出すと打撃が一変。「フライボール革命」と命名された。ア軍はいち早く打球角度に着目し、強打で世界一となった。「うちも同じ結論を持っている。合う、合わないはもちろんあるが、数字の根拠がある以上はデータを現場に提示し、意識してもらう。勝つためなら何でも試してみようと」と同関係者。データの蓄積と分析力、進取の風土が楽天の強みだ。

 梨田監督は「1軍では外国人と内田、オコエあたりが強いフライを打つ選手。もっと出てきて欲しい」と貪欲。「上からたたけ」はもう古い。【宮下敬至】