7年ぶりに見る景色は、心地よかった。楽天ファンの石塚友祐さん(28)は30日、ロッテとの開幕戦(ZOZOマリン)にいた。試合前、左翼スタンドで周囲を見渡し「この辺りですかね。懐かしいですね。本当にびっくりしました。まさか自分のところに来るなんて思っていなかったですから」。クリムゾンレッドの背番号「37」のユニホームを身にまとい、笑顔を見せた。

 東日本大震災が起きた7年前、11年のことを思い返していた。その年は震災の影響で、開幕が4月12日にずれ込んだ。舞台は同じこの球場(当時はQVCマリン)で、相手も同じロッテだった。石塚さんは左翼席で観戦し、嶋の決勝3ランをキャッチした。

 そのことがきっかけとなり、スポーツ報道を志すと決めた。「被災地の人に、嶋さんやイーグルスの皆さんが元気を与える中でのパイプ役になりたい」と、日本テレビに入社。昨年までスポーツ局で、憧れのプロ野球を担当した。

 7年ぶりに行われた同じ球場、同じ対戦カードの開幕戦。休日を利用し、観戦した。今回は左翼席ではなく、あえて三塁側に座った。「嶋さんのプレーをしっかり見たくて」という理由だった。

 プロ野球史上2番目に長い5時間の死闘。石塚さんは、楽天18年の1勝目を最後まで目に焼き付けた。

 石塚さん 7年前と同じ場所で、嶋さんが投手陣に声を掛ける姿に、いろいろな思いを巡らせながら、観戦しました。今年1月に星野元監督が亡くなって。則本投手も銀次選手も藤田選手も今日にかける特別な思い、執念を強く感じました。7年前と同じような素晴らしい試合が見られて感動しましたし、本当に幸せでした。

 時が経っても変わらないものがある。ファンも13年以来の優勝&日本一を待ち望んでいる。【栗田尚樹】