復活勝利が遠い。阪神先発の藤浪晋太郎投手(23)が悪送球あり、暴投あり、押し出しありの大荒れで5回途中、4安打3四球2失点で降板。自滅の独り相撲で、糸井の逆転2ランによるリードを守れなかった。昨年5月4日以来の白星はまたも持ち越し。試合は8回に岩崎が決勝打を浴び、京セラドーム大阪でのホーム開幕戦を飾れず勝率5割に逆戻りした。金本知憲監督(50)も出口が見えない若きエース右腕の“悪戦苦投”にもどかしさいっぱいだ。

 藤浪は薄暗い駐車場で「もどかしい」と胸中を明かした。試合終了から1時間20分が経過した23時。「ボール自体は良かった。相手が真っすぐを狙っている中、真っすぐで押し込めたり…。それだけに、もったいない」。神妙な面持ちから苦悩が強くにじみ出た。

 またも突如、制球難に陥ったのは1点リードの5回2死二、三塁だった。2本の安打でピンチを招くと、1番大島にはストレートの四球。2死満塁となり、2番京田にもストライクが入らない。8球連続ボール球で押し出し四球を献上。試合を振り出しに戻したところで降板を告げられ、試合後は自らを責め続けた。

 「自分で作ったピンチ。1つの勝負どころだと思って、気持ちを入れて投げた。それが力みにつながって悪い方向に出てしまった」

 1回は先頭への四球に自身の犠打悪送球が重なる。無死一、三塁、今度はマウンドに足を取られる形で暴投した。まさかの形で先制点を献上。それでも味方打線の援護で1点リードをもらうと、2回以降はストライクゾーンにボールを集めた。4回終了時点で被安打2の1失点。立ち直りの兆しを見せていただけに、強い責任感が裏目に出ての制球難が悔やまれる。

 最速158キロ。直球に威力は出てきた。4回2/3を4安打3四球で2失点。騒ぎ立てる数字ではないものの、投球内容を振り返れば首脳陣は苦言を呈さざるを得ない。金本監督は「突然そう(制球難に)なるから、こっちはホンマに読めない」と心配顔。今後の起用についても「1年をみすえたら我慢したいところだけどね。だからといって、チャンスをやるというのも、どこまでやっていいのか。微妙ですね、ちょっと」と悩める胸中を隠さなかった。

 今季初先発した前回3月31日巨人戦も、2点リードの6回に制球が乱れて降板している。ただ、藤浪は前回と比べて「すごく良くなっていると感じる。6、7、8回も行ける、という感触はありました」と手応えも口にした。次回は中6日で13日ヤクルト戦に先発予定。背水のマウンドで真価が問われる。【佐井陽介】