阪神岩貞祐太投手(26)の18年シーズンが開幕した。6回4安打1失点。今季初登板初勝利を挙げた。4回までスコアボードに0を刻み、失点は5回に犠飛による1点のみ。先発として役目を果たした。「梅野の配球がさえていた。真っすぐで押していこうと思っていたんですけど、スライダーがいいということだったので、相手バッターに的を絞らせないことができた」と、同期入団の正妻をたたえた。

 胸に刻む言葉がある。矢野2軍監督、投手コーチ陣からの助言。「始まりよりも終わりを大切にする、と言われていた。少し遅くなったんですけど、まずは第1歩をきれた」。始まりである開幕ローテ入りを逃した悔しさをバネに、シーズン通しての活躍を誓う。2軍戦で好投し、つかんだチャンスを逃さなかった。

 恩師に誓った言葉がある。昨オフ、熊本に帰省した際、母校・必由館の野球部OB会が主催する野球教室に参加した。西田尚巳監督(53)に「オールスターに出たい」と伝えたという。今年は7月14日に地元・熊本で球宴が開催される。西田監督は「オールスターに出るためにも開幕から活躍したいと意気込んでいました」。チームの開幕から約2週間遅れたが、しっかり今季1勝目をもぎ取り、約束実現へ踏み出した。

 言葉だけでなく、ある行動も誓う。「(地震から)2年たって僕自身今年も熊本のためにと思っていた。1試合目で勝てたことで、熊本のために寄付というか、その第1歩をきれてよかった」。具体的な内容は明かされていないが、今季も熊本地震の復興支援を行う。今回は高橋遥との兼ね合いで、1度出場選手登録を抹消される見込みだが、多くの意味を持つ1歩を踏み出した。【古財稜明】