「虎の安打製造機」襲名へ-。阪神糸原が今季2度目の猛打賞を決め、貴重な4点目をもぎ取った。4番ロサリオの適時打でリードを2点に広げた直後の7回2死一、二塁。右腕原の内角低めカットボールに食らいつき、ハーフライナーで中前に落とした。「追加点が欲しい場面だった。いいところに落ちてくれて良かったです」。熱い感情のまま、一塁ベース上では思わずバシッと両手を合わせた。

 この日も左腕キラーは健在だった。先発ハフを相手にまずは運も味方につける。2回無死一塁でフラフラと打ち上げた飛球が三塁後方にポトリ。ラッキーな形で好機を拡大し、先制劇をお膳立てした。3回2死一塁からは外角低めの直球を逆らわずに三遊間へ。今度は7番大山のタイムリーを呼び込んだ。7回の適時打も含め、3安打のすべてが得点に絡んだ。

 これで今季の対左投手は25打数12安打、打率4割8分。「左対左は、ちゃんと腰を引かずに踏み込むことさえできれば『死球ありがとう』『内に来てありがとう』という、当たりにいくくらいの感覚が大事。それがもうできているので、特に苦にすることはないでしょうね」。そう金本監督が絶賛する内容で遊撃スタメンの座を固めつつある。

 今季21安打目は福留と並んでチームトップ。日に日に存在感は増しているが、糸原自身から慢心は一切感じられない。目をギラつかせて「左も打たないと試合に出られないので」と強調。その貪欲な姿勢が頼もしい。【佐井陽介】