レアな併殺が生まれた。6回裏、DeNAの守備。無死満塁のピンチだった。マウンドのウィーランドは平田を遊ゴロに仕留めると、大和内野手が本塁送球。捕球した嶺井博希捕手は、ベースを踏むと一塁ではなくすぐさま三塁へ送球してアルモンテをアウト。「6-2-5」というレアケースでの併殺で、無死満塁を2死一、二塁にして最終的に失点を許さなかった。

 嶺井には苦い経験があったという。センバツ優勝校として迎えた沖縄尚学2年だった08年夏の大会決勝浦添商戦。7回無死満塁で同様のケースで併殺に打ち取られたことがあった。「ランナーが目に入ったんで投げました。一塁は間に合わないかなと思って。高校のときは自分がバッターで、それ(6-2-5)で負けたんで。ゼロで抑えられてよかったです」。かつての嫌な記憶が自然と嶺井の体を突き動かした。

 ベンチのアレックス・ラミレス監督は「初めて見た。あれが勝敗を分けた。三塁に投げたときは『嶺井、何をしてんだ!?』って思ったけどね」と驚いた。光山英和バッテリーコーチは「嶺井の判断が素晴らしい。マネできるモノではない。野球勘が素晴らしい」と、好プレーとしてたたえた。