今季初の4連勝がポロリ…。1-1で迎えた延長11回、守備のほころびから阪神が悔しい敗戦を喫した。主砲ロサリオの守備固めで一塁に起用されていた山崎憲晴内野手(31)が遊撃からの送球を落球。ここからつながった2死満塁のピンチで藤川球児投手(37)が決勝の押し出し四球を与えた。金本知憲監督(50)も「言いようがない」とまさかの守乱を切り捨てた。

 金本監督は試合後、あきれたような笑いを浮かべていた。会見場の椅子に腰を下ろすと、悔しさを押し殺すように淡々と言葉をつむいだ。最後は衝撃的ですらあった凡ミスからの崩壊。「もう、言いようがない。答えようがないよ」。上気した顔を上げることなく、痛恨の失策をバッサリ切り捨てた。

 緊迫ムードが一瞬で緩んだのは11回表だった。スコアは1対1のまま。首脳陣は4番ロサリオをベンチに下げ、一塁に山崎、マウンドには6番手藤川を送った。ロサリオは5打数無安打と当たりが止まっていたとはいえ、まだ打席が回ってくる可能性はあった。それでも守備固めを優先し、このシフトが裏目に出るのだから皮肉だ。

 先頭4番ビシエドの平凡な遊ゴロを植田がさばく。胸元への送球を一塁山崎がミットに収めきれずにこぼし、流れが一気に三塁側ベンチへ傾く。バント安打、四球が絡んで2死満塁。ここで藤川が制球を乱し、代打モヤにストレートの押し出し四球を献上した。その直後には7番手高橋聡が1番大島に走者一掃の中越え二塁打を浴び、万事休す。今季最多の4万6636人を集めた甲子園は静寂に包まれた。

 10回までは相手守備陣の失策に付き合うことなく、ハツラツと気持ちのこもった無失策プレーを続けていた。それだけに、たった1つの落球からの敗戦は惜しすぎる。連勝は3でストップし、勝率5割に逆戻りした。指揮官は「(決勝点も)まあ、押し出しだから、これも言いようがないね」と厳しい表情。「こういう試合をしていたら、なかなか(リーグ上位に)抜け出すのは難しいね」と語気を強め、会見場を後にした。【佐井陽介】