1番鳥谷に負けじと、クリーンアップも奮闘した。阪神の決勝点は5番福留孝介外野手(41)の犠飛だ。「チャンスの場面で最低限の仕事ができました」。

 同点の4回1死三塁、一塁側ベンチ前では先発岩貞が視線を送っていた。高めに抜ける直球を見送ってフルカウントまで粘った7球目。真ん中高めにきた123キロチェンジアップを丁寧に持ち上げた。飛球は浜風にも乗って、左翼後方へ。三塁走者糸井の足が返球に勝り、本塁セーフだ。「最低限。まぁまぁ」。試合後は謙遜したが、勝負の展開を左右する打席で、しっかり役割を果たした。

 主将としてチームを引き締める41歳のベテラン。グラウンドを離れれば、仮面を脱ぎ捨て、優しい父親の一面も見せる。春先の休日のこと。今春から小学校に入学するまな娘のランドセルを家族で見に行き購入。種類が多く、決定まで時間を要したが、それには理由がある。「6年間、使うものだから。長く使えるものを渡さないとね」。長年、プロの世界で商売道具を大切にしてきた男ならではの心遣い。この日の白星とともに、愛情いっぱいの“贈り物”を届けた。

 プレゼンターと化した。試合前には中日松坂からの求めに応じ、自らのバットを贈った。平成の怪物からのオファーを快く受けた。ヒットは出なかったが、自身の2打点もあり、先発岩貞に今季2勝目をプレゼント。1日のDeNA戦で右手に受けた死球は「大丈夫」と心配ない様子。今回の9連戦は2日に雨天中止があっただけで休養日なし。ゴールデンウイーク最終日、フルパワーで試合に出続けた背番号8が虎党に勝利の喜びもプレゼントした。【真柴健】