和製大砲の座は譲れない。楽天内田靖人内野手(22)が、日本ハム戦(札幌ドーム)の2回、先制の2ランを放った。プロ5年目でキャリアハイとなる3号。能力が開花しつつある。18日に1軍初昇格した同じ右打ち強打者のドラフト2位・岩見の前で豪快な一撃をマークし、チームを3連勝に導いた。

 ドスン、ドスンと塁を回る。太ももは、まるで木の幹のようだ。ダイヤモンドを悠然と回った楽天内田は、笑顔でベンチに迎えられた。両軍無得点の2回1死一塁。日本ハム先発有原の外角低め149キロ直球に、腰をグッと落とした。折り曲げた右膝で力をため込み、豪快にバットを振り抜いた。「感触的に良かった。ランナーも一塁だったので、逆方向を意識して。ライトはたまたまですけど」と冷静に対応し、持ち前のパワーをさく裂させた。

 17日ソフトバンク戦以来となる1発。5日に1軍昇格して以降、10試合で3発と着実に結果を残している。高校通算37発をマークし、13年ドラフト2位で入団したスラッガー。自己最多となるシーズン3号も「結果が出たことはうれしいですけど、続けていかないと試合に出られないので。まだまだです」と必死だ。

 目の前のライバルの存在が刺激になっている。18日、ドラフト2位の岩見が1軍に初昇格した。同じ右打ちの大砲タイプ。185センチ、103キロの内田に対し、岩見も187センチ、108キロと体形も似ている。内田は「負けられないです。やっぱり結果を出していかないといけない」と簡単に譲るつもりなどない。

 球団は和製大砲の出現を待ち望んでいる。07年に山崎武司が本塁打王と打点王に輝いたが、後を継ぐロングヒッターが育っていない。ペゲーロ、ウィーラー、アマダーらの助っ人が、その穴を埋めている現状。期待を一身に受ける存在が内田であり、岩見もその1人。2人のライバル関係が相乗効果を生むことは間違いない。内田は「使ってもらえるように頑張りたい」。アピールを続けるだけだ。【栗田尚樹】