最下位楽天だって岸なら確実に勝てる。糸を引くように伸びる直球の最速は147キロ。逆にカーブは最も遅くて106キロ。最大41キロの球速差を生かして今季6勝目、節目の交流戦通算20勝目を挙げた。パ・リーグの借金を丸抱えし、負ければ借金20となる中で登板したが「まだまだ諦めることなく戦います」と力強く宣言した。

 同学年の好投に引っ張られた。中日吉見と33歳の先発対決。「吉見がいい投球をしていて、それに乗っかって僕も良くなってきた。個人的にすごく楽しみだったし、勝ててよかった」。ツーシーム系の動く速球で低めを丁寧につく吉見に対し、岸は1分間に2180回転するフォーシームの伸びで勝負した。4回2死から4者連続三振。3試合連続の2桁こそ逃したが、持ち味を存分に出して9三振を奪った。

 これで5月から5連勝となり、防御率は12球団トップで1点台に突入した。梨田監督は「安定している。球の切れと速く感じるスピンの利いた直球、カーブ、チェンジアップ。何をとっても一級品」と絶賛。苦しい時、最後のとりでとなってくれる右腕に感謝していた。【斎藤直樹】