巨人高橋由伸監督(43)が「岡本、半端ないって」指令を下した。20日、川崎市内のジャイアンツ球場で全体練習を行った。指揮官はサッカーW杯初戦のコロンビア戦で決勝弾を決めた日本代表FW大迫の代名詞「半端ない」を引き合いに、岡本の驚異の活躍に期待。若き4番が交流戦後も相手を泣き叫ばせるような打棒で暴れまくる。

 高橋監督が「半端ない」という話題沸騰のキーワードを振られ、思い浮かんだのは、やはりこの男だった。前夜のワールドカップ(W杯)コロンビア戦もテレビ観戦。大迫のような半端ない活躍を誰に求めるかと聞かれ、答えた。

 高橋監督 菅野、坂本勇はすでにそういう位置づけにある。そういう意味では岡本が相手に、そう思われるようになってくれれば。

 完全無欠のエース菅野は試合前から相手に敗戦を予感させる。球界最高峰の遊撃手、坂本勇も投手がピンチに出会いたくない打者だ。2人に続けるのが岡本だ。「打撃はボレーシュートの感覚」と表現する若き4番は打撃3部門で高い数字を残し、相手の戦意を狩る本塁打も放ってきた。

 高橋監督も現役時代に「半端ない」相手に苦闘した。ヤクルトなどで活躍した石井一久。「最初は嫌だった。直球もスライダーもすごかった」。左腕から150キロ超えの剛速球、左打者の腰を砕かせるスライダー。冷静な高橋監督が滝川二DFのように泣き叫ぶことはなかったが、最初の2年間は25打数1安打と沈黙。「半端ない」がもたらす心理的影響は実体験にある。

 岡本は期待を伝え聞き「そうなれるように頑張ります」と受けた。明日22日のヤクルト戦からリーグ戦が再開。「岡本、半端ないって! 内外角の際どい球、めっちゃホームランするもん。そんなんできひんやん、普通。言っといてや、できるんやったら。どうやったら岡本、止められるんやろ」と他球団を縮み上がらせる。【広重竜太郎】