虎が後半戦開幕で悔しい黒星を喫した。本拠地甲子園に宿敵巨人を迎え、今季最多4万6788人を集めた一戦。5回に逆転され、追い上げも届かず、3-4で敗れた。5回は新助っ人ナバーロの守備のミスが逆転を許すシーンにつながったが、期待のバットでは先制打を放つなど2打点。首位広島とのゲーム差は今季最大の8となったが、危機を乗り越え、逆襲に転じてみせる。

 「あと1本」が遠い後半戦開幕戦だった。3点差に広がり、敗色濃厚の8回、必死に追いすがる。2点をかえし、なおも2死一、二塁。同点機を迎えたが、梅野のバットは沢村の低めフォークに空を切った。甲子園を包む期待感は一気にしぼむ。何度もため息を包み込んだ敗戦スタート。金本監督も終盤の追い上げに「まあ、そうですね」と話すだけ。首位広島と今季最大の8ゲーム差に広がった。

 1回に一挙3連打で幸先よく先制したが次第に雲行きが怪しくなる。またも、巨人のベテラン左腕内海に翻弄(ほんろう)された。2回1死三塁を生かせず、4回には無死一、二塁の絶好機を迎えた。だが、先発に抜てきした中谷が内角速球に差し込まれ、二飛に倒れた。指揮官も「(タイミングが)紙一重とは言わないでしょう。まあね、使っているのは僕ですから」と自嘲気味に振り返った。力投していた先発メッセンジャーを援護できなかった。

 打線が振るわない。内海には5月10日も黒星を喫しており、今季連敗。甲子園では14年4月12日に勝ったのが最後だ。何度対戦しても攻略できず、現役投手最多の阪神戦通算27勝目を献上する屈辱を味わった。後半戦初戦でつまずいたが、明るい話題もある。内海にナインが苦戦するなか、新外国人のナバーロが立ち向かっていった。

 先制もN砲の一撃だ。1回2死一、二塁。ツーシームを的確にとらえ、痛烈なゴロで右前へ運ぶ。「いい変化球を投げていたので、大振りせず、センター返しを心掛けました」。幸先のいい適時打でナインを鼓舞した。4回も気負わず中前へ。守備では5回1死一塁で吉川尚の左前打を送球時にお手玉する失策を犯して逆転されるキッカケをつくったが、打撃では2安打2打点と気を吐いた。

 来日初の伝統の一戦に武者震い。「2つの伝統のあるチームの試合という感じでモチベーションが上がったよ」と振り返った。後半戦の鍵を握るのは打線だ。金本監督も前半戦を終えて「まずは得点力。上げないと打開策はない」と言い切っていた。指揮官の期待に応える活躍。ポイントゲッターとして、強烈な存在感を示したい。【酒井俊作】

 ▼阪神の首位広島との8ゲーム差は今季最大。阪神がリーグ優勝した年の最大ゲーム差逆転は64年の6.5差で、逆転Vは厳しさを増している。