巨人が球団ワーストタイとなる4シーズン連続でのV逸が決まった。

DeNA戦は打線が湿ったまま、エース菅野も踏ん張れず、4連敗で借金は今季ワーストの7。優勝の可能性が消滅し、自力でのCS進出も消えた。まだ3位は辛うじて保っているが、最下位阪神まで1・5ゲーム差と、75年の1度しか味わったことのない屈辱の底辺も背後に迫っている。

栄光の記憶がかすみつつある。常勝を宿命付けられた名門が4シーズン連続で優勝を明け渡した。就任後、3年連続で優勝争いも展開できなかった高橋監督は事実を受け止めた。「現実ですから。ただ、今日で全てが終わるわけではない」。CSに戦いの目を向けるしかなかった。

シーズン終盤で打線が大失速した。11日から5戦連続の2得点以下では勝てない。だが、1試合平均得点4・37は過去10年で3番目に高い。V逸の最大要因は打線ではない。救援陣の脆弱(ぜいじゃく)さが響いた。8勝19敗24セーブ、防御率4・27。総合的に見て過去10年で最低の数字と言える。

緊急で9月から配置転換された山口俊は今季5人目のクローザーだ。メジャー帰りの上原と昨季登板なしの沢村が復帰し、開幕のころは重厚な勝利の方程式が組めると思われた。だが、序盤から抑え以外の役割を固定しきれなかった。マシソン、カミネロもコンディションの問題を抱えた時もあったが、中10日前後も登板間隔が空き、調整が難しくなる状況が散見された。久々の登板で打ち込まれると救援陣全体のバランスが狂い始めた。助っ人コンビは故障に見舞われて離脱し、完全に迷走した。

この日も8回に登板した畠が重い1点を失った。開幕ローテ候補も腰痛で大きく出遅れ、苦しい台所事情で救援に回すも、巨人の穴を象徴するシーンだった。

7月に就任した山口オーナーも「接戦に勝ちきれないのは救援陣が手薄なためでは」と指摘することもあった。12~14年の3連覇は山口鉄、マシソン、西村らのリリーフ陣が下支えした。近年、リーグを制したチームは確固たる方程式が存在した。その完成なしに天下奪回はありえない。

一方で先発陣はリーグトップの18完投13完封。若手の今村、育成出身のメルセデスが成長力も示した。エース菅野は「悔しい以外の何物でもない。中心選手として悔しい」と心が煮えたぎった。誇りをここから示さなければ、来季の優勝も夢物語だ。【広重竜太郎】