西武の多和田真三郎投手(25)が、両リーグ最多16勝目を挙げた。10年ぶり22度目のパ・リーグ優勝から一夜明けたレギュラーシーズン最後の登板で、8回1失点。勝利数2位の西武菊池に2差をつけ、最多勝のタイトルをほぼ手中に収めた。

6回を3者凡退とし、迎えた7回、先頭横尾の打球が左スネを直撃した。土肥投手コーチが駆け寄ったが、多和田はベンチに戻らず投げ続けた。「多少痛かったけど(ベンチに)戻ってまでの感じではなかった。それよりリズムを崩したくなかった」。痛みより、流れを優先。走者を背負っても粘り、8回126球を投げ切った。

前夜は、歓喜のビールかけが行われた。仲間とともに会場入りしたが、早々に1人で抜け出した。中締めのあいさつの前には戻ったものの、先発前日の調整は怠らず。「ビールかけも大切ですけど(翌日の)試合を見に来てくれるファンもいる。そのためにも責任を持った行動をしないといけない」と話した。

5勝だった昨季からフォームが安定。一気に16勝とブレークし「できすぎなくらい。野手に助けてもらって、勝てている。感謝です」と笑顔で話した。タイトル争いについては「最後まで何があるか分からない。あとは待って…頼みます」。言葉に詰まりながら、喜びをかみしめた。【保坂恭子】