中日岩瀬仁紀投手(43)が2日、ナゴヤドームで引退会見を行った。プロ20年目の今季は通算1000試合登板の金字塔を打ち立てるなど47試合に登板。「野球に対する心残りはない」と完全燃焼した。阪神との今季最終戦(ナゴヤドーム、日時未定)が最終登板となり、引退セレモニーを開催する。

希代のリリーバーは、穏やかな表情で引退会見に臨んだ。プロ20年目の今季は47試合に登板。まだ投げられるように思えるが、鉄腕は自らケジメをつけた。「今年の成績が去年より良くないので、これ以上、迷惑をかけるわけにいかない」。9月に森監督から「来年、どうするんだ?」と聞かれ、「今年で引退します」と答えた。正式な引退表明はこの日になったが、ひとつのこだわりがあった。「1000試合もあったので、しっかり戦力として投げ切りたかった。野球に対する心残りはない」と言い切った。

プロ野球の歴史に圧倒的な数字を残した。通算1001試合登板はまさに金字塔。通算407セーブとともに、今後抜かれることは不可能とも言える数字だ。しかし自らの誇りは別の記録にあった。「15年続けて、50試合以上投げられたのは、一番誇れることだと思う」。首脳陣から信頼され、ケガなくマウンドに立ち続けた証しだ。そして、タイトルよりもうれしかったのは、やはり歓喜の瞬間。5度のリーグ制覇、1度の日本一に貢献した。07年の日本シリーズ第5戦で、山井と継投で完全試合を達成したのは、記録にも記憶にも残る。「まさか、ああいう試合になるとは思いも寄らなかった。今となっては、すごい試合だったと思う」と振り返った。

入団時の指揮官である星野仙一監督が亡くなった年に、自らも現役引退を決断。「そうならないように、がんばろうと思った。『よくやった』と言ってくれているのか、『もう少しがんばれ』と言ってくれているのか、わからないが、ここまでできたことはうれしく思っている」。今後はグラウンド外から野球を勉強することが濃厚。近い将来に指導者として戻ってくる。今季最終戦となる本拠地での阪神戦(日時未定)が最後のマウンド。1002試合目の登板で、鉄腕の投球は見納めになる。【田口真一郎】

<岩瀬の一問一答>

-6年連続のBクラスでチームを去る

今年は絶対にAクラスという気持ちでやった。今年は投手陣がよくなかった。責任を感じている。

-ドラゴンズの後輩たちへのメッセージは

ドラゴンズはこんなチームじゃない。優勝争いができるチームと今年あらためて思った。みんな、個々の能力は高い。そこをいかに自分のものにできるか。メンタルの部分で、いかに自信を持って投げられるか。結果を力に変えていくしかない。

-今季は思い通りにいかない部分があると言っていた

合っているときは、自分の投げているボールを意図的に操れていた。交流戦くらいから、自分のボールが投げられていない感覚になった。そういう部分で苦労した。

-気持ちの変化は

イニングの途中で走者を残して代わることが今季は多かった。今までは、自分がそういう場面で出て行った。その積み重ねが自分を苦しくさせていった。