今夏の全日本大学選手権で優勝した東北福祉大が仙台大を7-0の7回コールドで下し、10勝1敗の勝ち点5で2季連続70度目の優勝を果たした。6-0の7回裏2死から1番吉田隼外野手(4年=国士舘)が左前打で出塁。二盗を決めると相手捕手の悪送球も重なって一気にホームへ生還し、試合を決めた。27、28日に福島・ヨーク開成山スタジアムで行われる明治神宮大会東北地区代表決定戦で優勝し、3年ぶりの本大会出場を決める。

全日本MVP男の1番吉田が1人で試合を決めた。7回裏2死から左前打で出塁。続く2番の2球目に50メートル6秒0の快足を飛ばす。相手捕手が二塁悪送球をする間に一気に本塁へ生還し、完全優勝を決めた。「2年から試合に出してもらっていたのに、今までタイトルとは縁がなかった。何か取りたいと思っていた」。この日、2盗塁を加算し、初の盗塁王(12個)が当確。打撃タイトルとは無縁だった男が喜びを爆発させた。

例年と違ってドラフトにかかるプロ注目の選手はいないが、結束力でリーグ連覇を果たした。秋開幕後、調子の上がらなかった主将の古川澄也外野手(4年=花咲徳栄)が先発から外れることが多くなった。だがベンチで下を向くことなく、代わりに出場した後輩たちに「僕が腐ってても、チームはまとまらない。とにかく声を出さないと」とハッパを掛け続けていた。

その姿を見た4年生が燃えた。副主将の吉田は「主将の人柄。試合に出なくても、チームの一体感をつくりだしてくれた。めっちゃ感謝している」と古川をたたえ、「自分はプレーで引っ張る」と切り込み隊長として打撃と足でチームをけん引した。目指すは同校初となる連続の全国優勝だ。27日の決定戦初戦はリーグ新記録の10連覇を達成した富士大(北東北)と激突する。吉田は「自分たちが伝説の世代になる。その力もまとまりも、今のチームにはある」と一枚岩を強調。神宮大会優勝まであと5試合。「鉄の結束力」で走りきる。【高橋洋平】