新人王、そして日本を代表するクローザーへ。25日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」でソフトバンクから「外れ外れ」1位指名を受けた東洋大の最速159キロ右腕、甲斐野央投手(4年=東洋大姫路)が、目標を新人王に定めた。大学日本代表でもクローザーを務めるなど、「戦国東都」で腕を磨いたショートイニングのスペシャリスト。強力投手陣の一角を担い、タカの戦力になる。
日本シリーズの戦いを目前に控えたソフトバンクから1位指名を受けた甲斐野は、引き締まった表情で会見場に現れた。小園、辰己と2回1位抽選を外しての1位確定だが、投手としては最上位の評価を受けた。DeNA1位の上茶谷と並び、真っすぐ前を見つめて席に座ると、マイクを握った第一声で「将来的には日本を代表するピッチャーになりたい」と宣言した。
野手陣、投手陣ともに強力な布陣がそろうソフトバンク。「指名順位が上だから活躍できるわけじゃない。自分次第。日本トップクラスの選手ばかりで、たくさん勉強したい。持ち味の負けず嫌いという思いでやりたい」と言った。今季ソフトバンクは岩崎、サファテらが離脱し、ブルペン陣の整備に苦しんだ。大学日本代表でもクローザーを務めた甲斐野は187センチの長身から投げ下ろす最速159キロの直球と140キロ台の高速スプリットが武器。三振奪取率も高く、ショートイニングのスペシャリストとしての道を歩んできた。
「スピードボールに自信があります。抑えとして飛び込みたい。サファテ投手は圧倒的なピッチングで、守っている方も勝ったと安心感がある」と、理想のクローザー像に掲げた。1年目の目標を問われると「新人王を取りたい」と迷うことなく言った。
大学でしのぎを削ったライバルは、DeNA1位の上茶谷に加え、中日2位で梅津が指名された。東洋大・杉本泰彦監督(59)は「ブルペンでは火花が散っていた。違うチームになって刺激し合って、プロの世界で名をはせてほしい」と期待した。甲斐野は高3年時には最速141キロだったが、大学4年間で18キロアップした。プロでの目標スピードを問われると「160キロって言った方がいいんですよね」とニヤリ。大台突破から新人王、日本一のクローザーへ。「プロに入ってからが勝負」と、浮かれることなく繰り返した。【前田祐輔】
◆甲斐野央(かいの・ひろし)1996年(平8)11月16日生まれ、兵庫県出身。小3で野球を始め、中学時代は軟式野球部に所属。東洋大姫路では1年秋からベンチ入り。東洋大では昨秋初勝利を挙げ、5勝をマーク。最優秀投手とベストナインを獲得した。最速159キロ。187センチ、86キロ。右投げ左打ち。