プロ野球ドラフト会議が25日に東京都内で行われ、昨秋の明治神宮大会で星槎道都大を道勢初の準優勝に導いた最速148キロ左腕、福田俊投手(4年=横浜創学館)が日本ハムから7位指名された。北海出身の富士大・佐藤龍世内野手(4年)は西武の7位指名。育成では、北海の大窪士夢投手(3年)が西武2位、東農大北海道の岡本直也投手(4年)がソフトバンク2位、旭川大高の沼田翔平投手(3年)が巨人3位で指名された。
あきらめかけていたときだった。ドラフト会議開始から2時間が経過した午後7時3分、チームメートがざわついた。福田は目の前のスマートフォンで速報を見たが、6位指名後、更新されなくなった。何が起こったか分からなくなり戸惑った。1分ほど緊張した顔で座り「最初は誰のことで喜んでいるのかわからなかった」。周囲に確認し、指名されたと知ると、笑みがこぼれた。
「駄目かと思っていた。本当に感謝です。日本ハムはゆかりあるチーム。早く1軍に上がって札幌ドームで投げられるようになりたい」。札幌手稲山口小時代に札幌ドームで試合を観戦した記憶が、おぼろげだがある。「新庄選手がいて盛り上がっていた」。かつて大スターが躍動した舞台に、自身が立つ姿を思い描いた。
元巨人外野手でDeNAで2軍監督などを務めた二宮至監督(64)の助言が、プロへの道を引き寄せた。札幌6大学リーグを制した昨秋は、最高殊勲選手など個人3冠も、今春はフォームを崩し無冠。チームも3位と低迷し、山本文博監督が引責辞任した。6月に就任した二宮監督は、最初の投球練習を見て、力で抑えようと空回りするエースの心の乱れを察した。「全力で投げようとしすぎ。8割ぐらいでいい。丁寧に投げなさい」。2軍で苦闘する若い投手を何人も見てきた指揮官の一言が秋の復調につながり、プロの評価を取り戻すきっかけになった。
日本ハムは1位に金足農・吉田、4位に横浜・万波、5位に大阪桐蔭・柿木を指名。上位に甲子園を沸かせたスター高校生が居並ぶが、関係ない。「これからは指名順位じゃない。1日も早くチャンスをつかむ。そのために自分のできることを準備するだけ」。甲子園経験はなくとも、大学4年間、北海道で地道に磨いた得意のスライダーと、きれのある直球で、1軍の座をつかむ。【永野高輔】
◆福田俊(ふくだ・すぐる)1996年(平8)12月14日、札幌市生まれ。札幌手稲山口小1年で野球を始める。4年時に父の転勤で神奈川・小田原市に転居。横浜創学館では3年春の県大会8強が最高成績で、最後の夏は16強。星槎道都大では、昨年の札幌6大学秋季リーグで優勝し、最高殊勲選手に輝いた。明治神宮大会では道勢初の準優勝にけん引した。家族は両親と兄。170センチ、75キロ。左投げ左打ち。