関西国際大(阪神大学)のエース武次春哉(2年=西脇工)が、圧倒的な投球を見せた。京産大(関西6大学)の打線から先発全員、イニングごとでも9回を除く毎回の16三振を奪い、4安打完封勝利を挙げた。

「ぶっつけ本番だったんですよ」と鈴木英之監督(51)が明かしたのは試合後。実は1週間前に右脇腹を痛めた。指名打者制のリーグ戦では打席に立つことはないが、今大会は投手も打席に立つ。「打撃練習をやりすぎたせいかもしれません」と武次も記憶をたどる。投球練習を再開したのは、前日26日だった。

だが試合が始まってみれば、速球に加え、カットボール、チェンジアップで三振の山を築いた。「リーグ戦で当たっている相手には研究されて見られることもあるけれど、初めて対戦する相手には有効」という変化球で、京産大打線のバットに思うように空を切らせた。

身長164センチと小柄だが「小さい方が、体を使いやすいです」と意に介さず。けん制も打球処理も、巧みだ。鈴木監督は「(身長が)170センチあれば、高校でプロに行っていたかもしれない。隠れた逸材。どうしてもうちに来てほしい投手でした」と熱意を持って迎え入れた左腕は1年春からエースになり、2年秋終了時点で早くも19勝を積み上げた。1年春は4勝。左脇腹を痛めた1年秋は1勝どまりも、今年は春秋それぞれ7勝を挙げた。「大学で野村コーチにカットボールを教えていただいたことが大きかった」と、野村昌裕投手コーチ(45)との出会いを、今の好投の要因に挙げる。大体大・上原浩治(巨人)が持つ大学通算36勝の連盟記録更新も視野に入れる。

元日本ハム榊原諒、ロッテ松永、益田ら好投手が輩出した関西国際大に、また楽しみなプロ候補が現れた。