猛虎党になった家族の後押しを受けて大活躍するぞ! 阪神ドラフト6位指名のBC富山・湯浅京己(あつき)投手(19)が11日、高岡市内のホテルで契約金2000万円、年俸500万円(ともに推定)で仮契約を結んだ。「ここ(BC富山)に来たときから、1年でNPBに行くのが目標でした。本当のスタートラインに立てました」。

気合が入るのも当然だ。ドラフト指名を受けた瞬間から、湯浅家は虎一色になった。三重・尾鷲市で精肉店「ぶたふく」を経営する父栄一さん(47)は、「ドラフトにかかった瞬間から阪神ファン」とキッパリ。今では毎日、仕事中にも「六甲おろし」を口ずさむほどだ。両親だけではない。なんと長年ライバル巨人のファンだった祖父母も一大決心。家から巨人グッズを封印したという。オレンジを黄色に変えて、家族総出のサポート態勢は万全だ。

不屈の精神も魅力だ。聖光学院1年の秋、腰の成長痛が自力で歩けないほど悪化。野球を断念し、地元・三重に帰ることも考えた。母衣子さん(46)は「絶対治るから大丈夫」と励まし、2週間に一度、ステーキを真空パックに入れて送り、体作りを手助けした。

3年夏の甲子園はメンバーから外れ、スタンドで応援。悔しさを糧に最速151キロの本格派右腕に成長し、1年でNPB入りをつかみ取った。衣子さんは「必死に前を向いて頑張ってくれたので、誇りに思います」と涙を浮かべて喜んだ。

湯浅は「同級生の清宮選手と対戦して、ストレートで三振を取りたい」と同学年の怪物スラッガーに宣戦布告。高校時代に踏めなかった甲子園のマウンドで輝きを放ち、虎党家族を喜ばせたい。【吉見元太】

◆湯浅京己(ゆあさ・あつき)1999年(平11)7月17日、三重県生まれ。尾鷲小4年から尾鷲野球少年団で野球を始め、尾鷲中では伊勢志摩ボーイズに所属。福島・聖光学院2年の冬に内野手から投手に転向。3年夏の県大会は背番号18でベンチ入りも、甲子園ではメンバーを外れた。17年BCリーグのドラフト1位で富山に入団。今季は15試合に登板し3勝7敗、防御率5・72。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。