若き侍が強烈アピールだ。「2018 日米野球」の第6戦、上林誠知外野手(23)が6回に右前安打を放ち、侍唯一の全試合安打を達成した。日本シリーズでも好プレーを連発した若武者は、今シリーズでも21打数10安打の大暴れ。激戦が予想される東京オリンピック(五輪)の外野手争いに名乗りを上げた。4投手の継投で逃げ切った侍ジャパンは、5勝1敗で全日程を終えた。

代役侍の刀が、誰よりも鋭かった。6回無死走者なし。上林がラミレスの甘く入った142キロツーシームを切り伏せた。右前へとはじき返し、初戦から6試合連続安打を放った。「思ったより打てたなと自信になりました。ラミレスの(初球に投じた)カットボールはメジャーを感じた。体感できたので良かったです」とクールに振り返った。

強烈な印象を残した。ただ1人の全試合安打。日米野球では00年の巨人仁志以来、18年ぶりの快挙だ。6試合で21打数10安打、打率4割7分6厘と圧倒的な数字を残した。稲葉監督が14日の試合前、「もっともっと取り上げてほしい」と報道陣にお願いするほどの活躍ぶり。故障で辞退したDeNA筒香の代役としての選出ということもあり、上林は「結果を求めすぎなかったことが良かった。精神的に、打てたらラッキー、打てなくて当然ですから」と自然体の心持ちが結果につながった。

侍の激しい外野争いへ切り込んでいく。20年の東京五輪代表メンバーは24人の予定。08年北京五輪では外野手は4人の構成だった。現状では、選出が確実視される柳田、秋山、筒香に加えて、右打者の広島鈴木が有力候補。ただ、上林が今大会でアピールに成功し、その勢力図を変える可能性もある。「来年のこの時期、その次にはオリンピックが控えている。そこに選ばれたい気持ちはある」。継続した代表選出への意欲は包み隠さない。

「来シーズンが大事になってくる。すごい選手に負けないようにしたい」と好機をつかんだ若武者は打棒の切れ味をさらに磨き、侍定着を目指す。【島根純】