ソフトバンクのドラフト2位杉山一樹投手(21=三菱重工広島)が新人合同自主トレ初日となった9日、ブルペン一番乗りで猛アピールした。屋外でのランニングメニューを終えてストレッチをしている他の選手たちを尻目に杉山はスパイクに履き替えた。軽くキャッチボールするとブルペンに入った。

約50人の報道陣に球団関係者が見守る中、193センチの長身右腕は樋越ファームスタッフを相手に力あるボールを投げ込んだ。セットポジションから直球にカーブと勝負球という縦のスライダーを交え32球。乾いた音を響かせた。捕手後方で見守った入来3軍投手コーチは「縦のスライダーがよかった。(元ホークスの)新垣のような縦スラ。多少は緊張もあったでしょうが直球も力強い。まあ、3軍にはいない選手ですね」と目を丸くした。

「気持ちよかった。思い切って投げるのは気持ちいい。でも、まだ感覚的に違うところもあるけど、初日から飛ばしていきたかった」。ブルペン一番乗りにも杉山は涼しい顔で言った。入寮した7日はスーツケースを引っ張りながら、洗濯カゴをぶら下げ新幹線でやってきた。ミスマッチな福岡入りとともに、合同自主トレ初日にマスコミ注目の独占ブルペン…。「見られてナンボ」のプロ意識? かどうかは分からないが、1位甲斐野を含め、他選手を上回るアピールとなったことは確か。「初日からブルペンに入る準備はしてきたので、まずまずのスタートです」。そう言ってニヤリと笑った顔に、大物の雰囲気も漂った。【佐竹英治】

◆杉山一樹(すぎやま・かずき) 1997年12月7日生まれ、21歳。静岡県出身。駿河総合高から三菱重工広島を経て、18年ドラフト2位でソフトバンク入団。最速153キロの直球にカーブ、スライダー、チェンジアップが武器。身長193センチ、体重92キロ。右投げ右打ち。