思い切った攻めの投球が勝ちにつながった。西武の榎田大樹投手(32)だ。移籍1年目の昨年、初の2ケタ勝利(11勝4敗)を挙げた。勝ち星に並行して与死球も増えた。リーグトップの14。西武では78年の東尾修(16与死球)に迫る数になった。「当てになる投手でした?」と説明する。

23試合に登板して、半数近い11試合で死球を記録した。死球を与えた試合は6勝2敗。古巣阪神と対戦した6月3日の交流戦も、そんな投球で勝ち星をつかんだ。7回を3失点。鳥谷に死球が記録された。阪神ナインは驚いただろう。「これがあの榎田か?」。阪神(半信?)半疑だったと思われる。

17年はわずか3試合の登板で0勝0敗に終わった。それが移籍するや一転、2ケタ勝利。これは山内新一以来で、45年ぶりのことだった。同投手は巨人所属の72年が0勝、南海に移籍した翌73年に20勝8敗の成績を残した。山内「新一でなく一新だ」。改名したいぐらいの変身ぶりだった。

移籍2年目となる今年、真価が問われる。山内の74年は10勝止まりだった。相手は研究してくる。同じ攻めでは、もう通用しないかもしれない。「あんときの榎田?」とは思わせない、進化が求められる。【米谷輝昭】