虎のキャンプは仁義なき戦いだ!! 阪神は31日、沖縄・読谷村のチーム宿舎で2月1日から始まる宜野座キャンプを前に全体ミーティングを実施し、矢野燿大監督(50)が「猛ゲキ」を飛ばした。

ナインに求めたのは「バチバチのライバル関係」で、「コイツに負けるもんか」という気迫だ。一切のなれ合いを排除した身内バトルを扇動。自主性の中に厳しさを打ち出す矢野イズムで、さあ球春到来だ。

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ナイン、球団首脳、スタッフらが一堂に会する前で矢野監督の熱があふれた。宜野座キャンプイン前日の全体ミーティング。ほとばしる思いが次々と口を突いた。「まずは自分を信じること。あとは、自分がどうありたいか。だいたい、みんなやり方ばかり気にするけど、自分はどんな選手になりたいか。『やり方よりあり方』を決めていくということ」。グラウンドで戦う者が持つべき、もっとも大切な「心」を説いた。

17年ぶり最下位の屈辱にまみれた昨季の悪夢と決別する。新指揮官は前しか向いていない。「誰が出てくるんやろって。楽しくない? ショートも誰が出てくる?」。今春キャンプのテーマは、ズバリ競争だ。しかも、甘えを一切排除した仁義なき身内バトルを仕掛けた。「切磋琢磨とか、そういういうのは、僕は、あまりいらない。バチバチのライバル関係で。コイツに負けるもんかっていう。自分が出てなくて優勝してもうれしくない」。実力で仲間を蹴落としてレギュラーをつかむのがプロの世界。同僚はライバルで、なれ合いが入り込むスキはない。

矢野体制は自主性を尊重する。今春キャンプで宿舎の出発時間を3つに設定。どの時間帯に球場に向かうか、決めるのは選手自身だという。球団関係者は「去年はなかったですね。これが自主性ということです」と明かす。一見、温和に映る矢野イズムは非情さも見え隠れする。「言葉的に自主性とか楽しむって、すごく表現的には軽いように思われがちやけど俺のなかでプロやからこそ、やっていくのがプロ。ある意味、すごく厳しいこと」。自分でやらなければ、淘汰(とうた)される。ナインに強烈なプロ意識を求めた。

この日は那覇空港に着くと宜野座に直行した。新設の屋内ブルペンをチェック。投球板の間隔が約30センチ広がり、ワイドになった。「これくらい間を取ってもらったら、自分のペースで投げられる」と感謝し、投手陣へのプラス効果を強調した。充実した施設も後押しする。「俺は競争からチームが強くなると思っている」。熱い火花が逆襲のノロシになる。【酒井俊作】

<阪神新監督のキャンプイン前日のゲキ>

▼99年野村克也=弱者のが勝つために 当たり前のことを当たり前にやっていく。弱いチームが強いチームと同じことをやっていちゃ、永久に勝てないんだ。

▼02年星野仙一=野球に恋しろ オレは勝つために来たんだ。4年連続最下位というのも今日を最後に言うな。野球に恋し、愛したんだから中途半端はダメ。もっとタイガースを愛せ、野球に恋しろ。

▼04年岡田彰布=みんな競争 ポジション当てはめるとかの問題やない。自分で勝ち取らなアカンのや。でもその分、みんなにチャンスがあるんや。

▼09年真弓明信=基本こそ大事 キャンプの前半には特に単純なメニューが多い。野球の動きからするとつまらない練習になるかもしれないが、それが一番大事なこと。

▼12年和田豊=熱さこそ大事 チームスローガン(「熱くなれ!!」)を胸にたたき込んで、1年間やっていこう。時間がたつと忘れることが多い。今、一番必要なことだから。

▼16年金本知憲=日本一を狙える 戦力的にはマイナス要素が多いけど、冷静に考えたら優勝を狙える。日本一を目指せる!