新助っ投右腕はアッチソン級! 阪神に新加入したピアース・ジョンソン投手(27=ジャイアンツ)が2日、沖縄・宜野座の1軍キャンプで初のブルペン投球を行った。コンパクトなフォームから威力ある球を披露。矢野監督は、かつて阪神でセットアッパーとして活躍したアッチソンに似たタイプだと称賛し、セットアッパーだけではなく、クローザーとしての可能性にも期待した。

   ◇   ◇   ◇

沖縄の陽光に包まれた真っさらなブルペンに、ジョンソンは一番乗りで現れた。投球フォームはテークバックが小さくコンパクトで、顔の位置も動かない安定そのもの。直球とカーブ、スライダーを1球1球、確かめるように、丁寧に35球を投げ込んだ。

「単純に投げるのが好きなので楽しめたよ。初めてにしては良かったと思うよ」

すでに米国で3度ブルペンに入っていた右腕は上々の感触を口にした。矢野監督も投球を初めて直に見て、仕上がりの良さに期待を高めた。投球後の助っ人に近寄り「良かったよ。いい感じで投げられていた。早くゲームで見たい」と声をかけた。

35球を見て指揮官の脳裏にある助っ人が浮かんだ。「どちらかというと日本人っぽい球質だよね。スピンがきいててコンパクトに投げながら、ベース上でグッと力を出すような感じ。アッチソンみたいな感じかなというのはある」。09年に阪神で30ホールドを挙げた同じ右の名リリーフとジョンソンを重ね合わせた。

アッチソンは、守護神・藤川とともに勝利の方程式を形成。現役時代にバッテリーを組んだ矢野監督の言葉だけに説得力は高まる。そして「セットアッパーか、もしかしたらクローザーまで上がるのか。もちろん勝ちパターンのなかで投げてもらうために来てもらっている」と活躍を期待。藤川、ドリスの守護神争いに、新たな選択肢が加わりそうなムードだ。

この日はセ・リーグ5球団のスコアラーも集結し、熱視線を送った。ヤクルト山口スカウトは「少し小さいスタンリッジみたい」と日本球界で75勝を挙げた投手に例え、広島井生スコアラーは「ブルペンがさらに脅威になってくる」と警戒心をあらわにした。

ジョンソンは自身の役割について「本当に言われたところで投げるだけです」ときっぱり。盤石なリリーフ陣形成へ、大事な1ピースになる。【磯綾乃】

◆ピアース・ジョンソン 1991年5月10日生まれ、米国コロラド州出身。ミズーリ州立大から12年ドラフト1巡目でカブスと契約。17年メジャー初登板を果たした。188センチ、91キロ。右投げ右打ち。

◆阪神時代のアッチソン 矢野監督の現役終盤08~09年に在籍した。08年8月に先発から救援に回って活躍。9月から10月にかけては10試合連続登板のセ・リーグ記録に並んだ。09年は開幕からリリーフに専念。久保田の故障、ウィリアムスの不調に伴い、抑えの藤川につなぐ役割を担った。8月には12試合15イニングを投げ無失点と奮闘したが、防御率1・70のこの年限りで退団。セットアッパーの代役候補として入団したのがメッセンジャーだった。

○…ジョンソンのブルペンに投手コーチ陣も高評価した。金村コーチは「思ったより仕上がっている。スライダーでも三振が取れる」。福原コーチは「四球で崩れる感じはない。(実戦は)7、11日はないでしょうが、これだけ仕上がっていれば早くなるかも」と早期の仕上がりに舌を巻いた。

○…ジョンソンは、ブルペン入り前に右手に黒い袋状の道具を付けてシャドーピッチングを行った。日本ではあまり見ないもので「重たいボールが入っているんだよ」と明かした。袋の中でボールをリリースするため、飛んでいかず1人で投球練習ができる優れもの。メジャー時代から使っていた道具も、日本で活躍する秘密兵器になりそうだ。

中日井本スコアラー 球児、能見、ドリスもいてジョンソンも加わったら厚みも増してくる。(昨季まで在籍した)マテオが苦しんところにジョンソンが入ったら、一気に中継ぎの底上げにつながる。

巨人田中スコアラー しっかりコントロールされている印象がある。

DeNA東野スコアラー マテオとモレノとは違うタイプ。制球がまとまっている。