中日ドラフト1位の根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)が、野茂魂でスター街道をいく。3日、2軍の沖縄・読谷キャンプを訪れた日米通算201勝の野茂英雄氏(50)と中学3年時以来の再会。当時同氏が総監督を務めるジュニア・オール・ジャパン(通称NOMOジャパン)の一員に参加し、「自分の道を進め」と説かれた野球道を再び胸に刻んだ。メジャーへの道を切り開いたパイオニア精神を受け継ぎ、大活躍する。

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日焼けした顔に少しの笑み。野茂氏に近づいた根尾は腰を曲げて、丁寧にあいさつした。「頑張れよ」と声を掛けられると表情を引き締めた。

野茂氏が前日2日に1軍の北谷球場を訪れたことは知っていた。2軍に来ることは知らされていなかったが、来訪を聞くとすぐ駆けつけた。3年半ぶりの再会に「お会いできてよかったです」と喜んだ。

忘れられない夏だった。中学3年だった15年夏、選抜された「NOMOジャパン」の一員として米国遠征を経験。大阪桐蔭の同級生で一緒にプロ入りした巨人横川凱投手(18)ら中学トップレベルのメンバーとも出会った。「海外の選手とも野球をさせていただき、新鮮だった。メジャーリーグも見学させてもらった。すごく貴重な経験でした」と振り返る。

何より野茂英雄という存在だ。脳裏に深く刻まれているメッセージがある。

「これから進路をしっかり考えて、自分の道を頑張っていってほしい」

同氏は94年オフ、未開だった日本人のメジャー挑戦の道を強い意思で実現させた。無安打無得点試合を2度達成するなど、トルネード旋風を巻き起こした生きざまが投影された言葉だった。

学業も優秀で、多くの選択肢があった根尾は高校野球の名門・大阪桐蔭を選び、3度の甲子園優勝を果たした。投手、野手の兼任が話題になったが「両方やるのが当たり前と思っている」とドラフト直前まで二刀流プレーヤーを貫いた。学生の本分にも一切、手は抜かなかった。

「中学の時はすごいと感じていたが、プロに足を踏み入れて、偉大な方だなと(改めて)感じました」。NOMOジャパンも野茂氏が中学年代に「世界を知って成長してほしい」と願って始めたプロジェクト。右ふくらはぎ肉離れでプロ生活のスタートは順調とは言えないが、野茂スピリットを共有する18歳は長いプロ人生も「自分の道」を歩むに違いない。【柏原誠】