阪神3年目右腕の浜地真澄投手(20)が、沖縄・宜野座キャンプ第2クール初日の5日、視察に訪れた元中日エースで日米125勝右腕の川上憲伸氏(43=野球評論家)から、宝刀カットボールの極意を教わった。矢野燿大監督(50)が中日OBの縁もあって急きょ実現した“憲伸塾”。この日宜野座を訪れた山本昌氏(53)や山崎武司氏(50)も才木や大山ら若虎の指導を買って出るなど、矢野監督ならではの“竜の輪”を生かして戦力アップだ。

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浜地の視線の先には、動画で何度も見てきた元中日の川上氏がいた。今がチャンス。狙い澄ましたタイミングで、自ら声を掛けた。

「誰からとかではなく、自分で。めったに聞けない機会ですし、聞きたいこともあった。カットボールを得意にされていましたし、YouTubeでよく見ていたので、どうやって投げるのかを教えてもらった」

カットボールは川上氏がプロで一時代を築いた代名詞。驚いたのは指揮官だ。「憲伸が来てくれたらカットボール…。浜地がいいなと思っていたら、先に行っていて『オーッ』と思った」。自主性を重んじて臨む監督1年目。1軍経験のない20歳右腕が、元中日エースで日米125勝のレジェンドに極意を質問している。以心伝心のように浜地が自ら考え、臆せずに動いたことに心を躍らせた。

矢野監督が中日OBというアウンの呼吸があり、急きょ実現した憲伸塾。もちろん浜地も充実の表情だ。「説得力がありました。リリースの感覚が全然違いました。今までは自分から見て曲がってないのかなと思って曲げようとしていた。でも『曲がってなくていいんだよ』と教えてもらえました」。指揮官も「真っすぐの質は間違いなく(チームで)上位に入る。スピードガンより、球の質は」とあらためて先発候補にインプットした。

浜地も貪欲だ。川上氏の教えを受けた後は、感覚を染み込ませるために復習のネットスローを実行。「(川上氏のスゴさは)キレですね。カットボールを代名詞に、決め球にも(カウント球で)外から入れる時にも使われていたので」。矢野監督だからこそ成し得た憲伸塾。浜地の武器になれば、大きな戦力強化だ。【真柴健】

 

◆浜地真澄(はまち・ますみ)1998年(平10)5月25日生まれ、福岡県出身。福岡大大濠から16年ドラフト4位で阪神入り。昨季はウエスタンで9試合に登板し3勝1敗1セーブ、防御率1・00。実家は約150年続く老舗の酒蔵。目標とする投手は藤川球児。185センチ、90キロ。右投げ右打ち。