同学年の絆で、初勝利をアシストした。巨人岡本和真内野手(22)が、同学年のルーキー高橋を強力に援護する1試合2本塁打を放った。1回2死一塁から、左中間席へ2試合連続の先制2号2ラン。5回には右翼席へソロ本塁打を放ち、亀井の連弾を呼んだ。89代4番のアーチで、平成最後の東京ドームでの伝統の一戦を勝利で飾った。

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詰まっても、こすっても岡本はスタンドに放り込んだ。1回2死一塁、スライダーに「詰まった」が、左中間へ2戦連発の2号2ラン。5回には直球を「少しこすった」が、右翼席に今季初の1試合2本目のアーチをかけた。ともに滞空時間の長いアーチストらしい放物線だった。「(高橋が)楽になってくれればと思った」とプロ初登板の高橋に“勇気”を届けた。

あの日の夜、誓った活躍だった。キャンプ休養日の2月12日。高橋、岸田、山下亜、田島の同学年5人で焼き肉店に集まった。高橋と2人で1軍キャンプだったが、「僕も高橋も人見知り」。合同自主トレ中は実現せず、2軍が宮崎に入った後のキャンプ中に“人見知り会”が開催された。

店の奥の個室で肉を頬張りながら、盛り上がった。食事の途中、高卒5年目の岡本が「めっちゃ、うまいから」とお勧めの「台湾まぜそば」を推薦。「同い年ですけど、いきなりタメ口もどうかと思いますし、敬語っていうのも…」と吐露した不安は「楽しかった」と吹き飛び、高橋のデビュー戦でお互いに投打のヒーローで勝利に貢献した。

ダイヤモンド1周後、ベンチ前で出迎えた高橋の姿から心中を察知した。1本目は笑顔のハイタッチの裏で高橋から言葉はなく「まだ緊張してたと思うので」とさらなる援護に集中。2本目はハイタッチ後に「何か言ってくれた」と大歓声にかき消された一言で落ち着きを感じた。

平成最後の東京ドームでの伝統の一戦は運命の巡り合わせの連続だった。2本目は昨年10月9日の最終戦で史上最年少での「3割・30本・100打点」を達成した時に2ランを放った望月。「何もないです」と意識せず、その時以来の1試合2発を記録した。

3連戦で3発を放ち、チームを今季初の同一カード3連勝、広島2戦目から5連勝に導いた。「凡打しても明るいですし、いい雰囲気です。まだまだ試合はあるんでこれから」。先輩から親しみやすさと強烈な実力から「岡本さん」と呼ばれる大砲が、新生巨人をけん引する。【久保賢吾】