ケガにも負けず、雨にも負けなかった。阪神梅野隆太郎捕手(27)が決勝タイムリーを放った。

同点に追いついた直後の4回1死一、二塁。押せ押せムードに乗った。中日吉見の初球を狙い打ち、中前にはじき返した。「思い切って行こうと思って。積極的に行った結果がいい結果になった」左足薬指を骨折し、痛みと戦いながらマスクをかぶっている。サイクル安打を達成した9日DeNA戦以来の打点。8回にも中前打を放ち、打率3割7分でリーグ3位に浮上した。

女房役としても、西を好リードで勝利に導いた。「連敗の中、不安を持ってマウンドに上がっていたと思う。でも、表情から心強かったし、首を振らずに全部来てくれた」。悪天候のマウンドでバッテリーは勢いのある中日打線を相手に細心の注意を払った。「本人も状態が悪い中でもゲームが作れたと言っていた。(投球の)スタンスは変えずに、少し動くボールが有効に使えた」。7回2失点の投球内容を満足そうに振り返った。

「先頭バッターを…」。西と2人で決めた合言葉だ。「1アウトを取ったところからイニングをスタートしていこう」と互いに言い聞かせて臨んだ。「(西は)開き直っていけるタイプだから長いイニングが投げられる。常に笑顔でいることで自然と助けられる部分もある」と梅野は話す。FA加入の右腕とは、結成1年目ですでにあうんの呼吸ができつつある。

矢野監督は「バッテリーって1回、2回で合うものじゃない。組んでいく中でお互いのことを分かり合っていくもの。お互いがよくなるように話し合っていけばいい」と信頼関係のさらなる深化にも期待。虎の扇の要が、チームを、投手陣を盛り立てる。【真柴健】