日本ハム王柏融外野手(25)に、待望の来日初アーチが生まれた。オリックス5回戦(京セラドーム大阪)の7回1死三塁、右中間への2ランで、追撃ムードを高めた。5回にも左前適時打で、チーム15イニングぶりの得点を生み4安打と奮闘。チームは連敗で3カードぶりの負け越しとなったが、打線の活性化が期待できる「大王」の快音だった。

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ようやく、白い歯がこぼれた。王柏融に、来日1号が生まれた。3点を追う7回1死三塁。カウント1-1、オリックス吉田一の145キロ直球が、ど真ん中にきた。「力が入っていなくて、自分のスイングが出来た」。ヘルメットのツバを押し上げ、目を細めて打球を追った。右中間席に飛び込む2ラン。17試合、71打席目で生まれた待望の1発。追撃ムード高まる一撃に、ベンチも沸いた。

敗戦の中でも明るい材料だ。西川や石川亮らから、両手の裏を頭の上で付ける「ハートポーズ」で迎え入れられた。王柏融は「みんながやっていたので(ポーズを)返しただけ」と照れ笑い。台湾では歴代最高打率4割1分4厘を残し、地元メディアからは「大王」のほかに「ヒットマシン」の異名もつけられた。「(本塁打は)久々の感触で、より最高の気持ちだった」と余韻に浸った。

栗山監督は「疲れていたのが抜け始めたのかな。技術的なことは心配していない」とうなずいた。1回の右前打を皮切りに、全5打席で出塁。4点を追う5回2死一、二塁では、逆方向へ技ありの左前適時打。チーム15イニングぶりの得点を生み、勢い十分に節目の初アーチにつなげた。来日初の4打数4安打3打点。「すごくうれしいですけど、チームが勝っていないので。どんな形でもチームの勝利に貢献したい」と見据えた。

来日初の「3番」起用。「何番を打っても自分の打撃をするだけ」と平常心で臨み、結果を残した。記念の本塁打は空砲に終わり、チームは連敗で3カードぶりの負け越し。それでも、「大王」が架けた記念のアーチは、未来の空へと伸びている。【田中彩友美】