日本ハム有原航平投手(26)が7回2安打無失点の快投でハーラートップタイの4勝目を挙げた。3、4月で5試合に先発し、防御率0・51は両リーグトップ。ツーシームを要所で巧みに操る投球術をマスターし、完全無欠の投手へ変貌した。平成最後の月間MVPも最有力候補に浮上。4球団競合の14年ドラフト1位右腕が、秘めていたポテンシャルを本格覚醒した。

   ◇   ◇   ◇

勝負どころで、有原は新たな宝刀を抜いた。初めて先頭打者の出塁を許し、得点圏に走者を背負った7回無死二塁。打者松田宣へカウント2-2からの5球目。「(外角へ)2球ボールが続いたので、踏み込んでくると思った」。内角へ140キロのツーシームを差し込み、詰まった打球は二直。二塁走者も飛び出し、併殺が完成すると、珍しくガッツポーズを見せた。

今季から再び取り組んだツーシームが、元々高いポテンシャルを引き出している。昨季は対右打者の被打率が2割9分7厘と高かった。左打者にはカットボールを有効に使い、同2割6分5厘。明確な課題を解消すべく、プロ2年目以来となる、苦手だったツーシームに再着手した。昨季は12打数6安打と打ち込まれた松田宣には、この日の3打席とも配球に織り交ぜ、決定打を許さなかった。

バッテリーを組む石川亮のリードも、有原の投球をブラッシュアップさせている。昨季後半からコンビとなった女房役は今季、ツーシームに自信を持たせる配球を続けてきた。前回登板までは「カウントを取る場面で、しつこく内角に要求していた」という。

かつては制球に不安があり、死球を恐れて避けてきた球種。フォームも安定し、全体的な制球もまとまっている右腕に、あえてプレッシャーのかからない場面で投げさせ続けたことで、この日は勝負球に変貌した。7回無死二塁のシーンについて石川亮は「あれは今年のポイント。次に、すごくつながる」と手応えを口にした。

防御率0・51は両リーグトップ。150キロ超えの直球にツーシームとカットボール、右打者にはフォーク、左打者にはチェンジアップ。さらにスライダーやカーブもある。計35回を投げ、与四球4と制球も安定。勝負どころで出力を上げられる馬力もある。「今季初めての対戦は、相手も強くイメージが残るので」と強烈なインパクトを各球団に残し続けた上での4勝目。覚醒した右腕は盤石の状態で、新時代へ向かう。【木下大輔】