ヤクルトが、3役そろい踏みで広島の進撃を食い止めた。

1点リードの3回に青木宣親外野手(37)の5号ソロ、ウラディミール・バレンティン外野手(34)の7号ソロで加点。5回には山田哲人内野手(26)が7号ソロを放った。25日に巨人菅野を打ち砕いたトリオが、またしてもアーチ競演。荒木貴裕内野手(31)の2号先制ソロを含むソロ本塁打4発で、昨季王者の連勝を8でストップさせた。

肌寒い神宮が、一足早い花火大会となった。1点リードの3回1死。流れを青木のバットが加速させた。広島ジョンソンの初球139キロの外角低めのカットボールにバットを合わせた。左翼席へたたき込む5号ソロ。「ちゃんと捉えられた。入るとは思わなかったけど、いい感触だった」とうなずいた。

さらに2死からバレンティンが続いた。バックスクリーンへの7号ソロで「完璧ではなく、詰まった当たりだったがよく飛んでくれた」。5回には山田哲が7号ソロをバックスクリーンに運び「しっかり振り抜けた」と納得の表情で振り返った。宮本ヘッドコーチは「青木の本塁打も大きかったし、(5回のピンチを)しのいだ後の山田の本塁打もとても大きかった」と評した。

ベテランの存在感が光る。青木は今月、すでに5本塁打をマーク。復帰1年目の昨年4月は0本で、同月に5本塁打以上を放ったのは、首位打者を獲得した07年4月の6本塁打以来。この日の1発が通算99本塁打目で、節目にもリーチをかけた。今季は、最年長での首位打者獲得を目標に掲げる。「4月は慣れる季節で、数字があんまり良くない時期。でも今は数字が出ている。だから状態がいいと思う」としっかり手応えも感じている。

チームは27日に12連戦の初戦を落としたが、連敗はしなかった。「プロ野球選手が大変なのは、毎日試合があること。切り替えることが大切」という。メジャー時代は、20連戦も当たり前。負けた日も勝った日も、家に帰ると必ず缶ビールを開ける。量はわずかだが、口にすることで「オフになる」。4打数無安打で負けた前夜からも、気持ちは切り替わっていた。「広島に力があるのは知っている。投手が抑えて、本塁打だけだけど勝てたことがよかった」と、鯉の進撃を止めた1勝を喜んだ。

8回の守備ではフライを落球し、失策で無死二塁のピンチを招いた。無失点に抑えた近藤に、ベンチ前で帽子を脱いで謝罪。「こんちゃんが、神様に見えた」と笑った。打線の核を担う2、3、4番の今季2度目のアーチそろい踏み。勢いづいた燕打線が、再び上昇気流に乗る。【保坂恭子】