オリックスが令和初のサヨナラ勝ちを収めた。ヒーローは伏見寅威捕手(28)だ。同点で迎えた延長10回2死二塁。代打で登場し、低めの変化球を左前へ運んだ。二塁走者の大城が本塁へ生還。セーフの判定にロッテ井口監督がリクエストを要求するも覆らず。劇的な幕切れで令和1勝目をもぎ取った。

「由伸がいつも頑張ってるのに、援護できない歯がゆさがあった。なんとしてもやってやろうと。簡単には終われない。粘ってやろうと。チャンスをくれた監督に感謝ですね」と喜んだ。

地道な積み重ねが功を奏した。昨季打率3割3分、43本塁打、130打点を記録した大リーグ、レッドソックスのJ・Dマルティネス外野手(31)に刺激を受けた。「彼は自分の打撃を必ず撮るらしい。その日の自分のイメージと実際のイメージを合わせる。いいと思ったことはまねしようと思って」。昨オフから自身の打撃練習を撮影を開始し、現在も試行錯誤を繰り返す。

家庭にも頼もしい「コーチ」がいる。17年に結婚した最愛の妻の支えが伏見の原動力。ホームゲームは全試合観戦に駆けつける。「真剣に見てくれているから『いい時はこうだったよ』とか、違いに気づいてくれたりして、いつもアドバイスをくれる。支えになっているし、本当にありがたい」。殊勲の一打が恩返しになった。

昨季の6月2日巨人戦以来、自身プロ2度目のサヨナラ打。「『サヨナラ男』と言えば、伏見と言われるように頑張ります」と宣言した。今季は6度の延長戦で3敗3分けと勝利がなかったが、ようやく延長戦初勝利を飾った。終盤に粘りをみせたオリックスがここから巻き返す。【古財稜明】