「勝ち運」を呼び込む強力助っ人だ。阪神の新外国人ピアース・ジョンソン投手(27)がシーズン初登板から14試合連続無失点で、98年リベラの持つ同連続無失点記録を更新。すると、登板直後にサヨナラ劇。自身2勝目をつかんだ。

わずか2球で、白星をたぐり寄せた。同点の10回2死二塁。能見が窮地に陥るとマウンドに上がった。打席は昨年の本塁打王で今季も11本でトップのソトだ。カーブの連投で打ち気をそらし、中飛に打ち取った。「西が勝ちに値する仕事をしてくれた」。プロ初勝利を挙げた25日DeNA戦も、登板直後に打線が逆転。またも幸運を再現した。

借りを返すマウンドだった。17日ヤクルト戦は8回1死一、二塁で2番手能見からバトンを受けたが、死球から2点打を許した。自身は失点こそ付かなかったが、悔しさを忘れていなかった。「タフな状況でしたけど…。(神宮で)能見さんのランナーを返してしまっていたので」。能見に失点がつく形になり、何が何でも抑えたかった。仲間から「PJ」の愛称で親しまれる52番は日に日に頼もしさが増す。

困った時のPJ頼みだ。矢野監督は「今日は本当にジョンソンとかもあまり連投はさせたくなかった。開幕して1カ月ちょっとたって、いけるとは思うんだけど」。この日でジョンソンは3連投。今後を見据えて、当初は温存させる方針だった。本来なら投入が考えられる同点の9回も我慢した。それでも10回。勝負どころと判断した指揮官は2死からカードを切った。「最後、ジョンソンは出しちゃったけど、あそこでしっかり抑えてくれた」。打者1人に2球。最少の力で最高の仕事を果たした助っ人右腕に賛辞を送った。

力投が報われ、今季2勝目が転がり込んだ助っ投は「これからタイガースを背負っていく2人(糸原、大山)の活躍。勢いの付く最高の勝ち方だった」と打線をたたえた。上位浮上に、完璧な男は欠かせない。【奥田隼人】