大丈夫、試合に出られます! 背中の張りを訴えていた阪神近本光司外野手(24)が「1番中堅」でスタメン出場し、不安を吹き飛ばす一打を放った。

6回。先頭で打席に立つと、ヤクルト先発ブキャナンの145キロ直球を左前へ運んだ。その後、三塁まで進んで4番大山の左犠飛で生還。トップバッターとしての役割を果たした。

「流れ的にも6回は先頭だったので(塁に)出られればと思っていた。結果的に点につながったのでよかったです」

5日のDeNA戦(甲子園)で背中に強い張りを訴え、6回の守備から急きょ退いた。病院には行かず、電気治療などに努めた近本は「大丈夫です」と軽症を強調。その後に新幹線で東京に移動し、この試合を迎えた。練習からフリー打撃やシートノックなど普段通りに参加し、内野ゴロで一塁ベースを全力で駆け抜けるなど、グラウンドでは痛みを感じさせない動きだった。試合後には「しっかり野球ができたということを見せられたのはよかったです」と言い残し、球場を引き揚げた。

志願の出場だった。清水ヘッドコーチは「(本人が)出られるということだったので。(近本が)1番にいるということは相手も嫌だろうし」と明かした。矢野監督は「100%でいける状態ではないんだけど。1年間やる中で、万全の状態でいけるときばかりじゃない。その中で1本出たとか、何か気にしてプレーしている姿は見えなかったんでね」と説明。7日以降の出場も状態を見て決める方向だ。143試合の長丁場では、痛みを抱えながら戦力として稼働することも求められる。近本はそんな状況でフル出場し、また1つ経験値を高めた。

もっとも敗戦に笑顔はない。「チームが勝てるように、明日もしっかり最善を尽くして準備したい」。その目は前だけを見つめていた。【真柴健】