「守備の職人」楽天藤田一也内野手(36)が、打者としての勲章を手に入れた。6回裏1死、カウント1-2と追い込まれながら、有原のチェンジアップを右前にはじき返した。

15年目での1000本安打達成を大観衆が祝福する中、記念ボードを掲げて応えた。「プロに入った時は1000本も打てると思っていなかった。自分は打ではなく守備でやってきた選手。素直にうれしいです」と感慨に浸った。

横浜(現DeNA)時代は7年半で312安打。12年6月に楽天に加入してから約7年、この日の安打が688本目となった。「楽天に来てレギュラーで使ってもらって日本一も経験できた。東北で達成できて本当に良かった」と感謝した。横浜時代の経験も生かされている。「石井琢朗さん(現ヤクルトコーチ)はケガをしても絶対にチャンスをやらない人だった」。村田(現巨人コーチ)、内川(現ソフトバンク)しかり、プレーできないケガ以外では休まない選手の中で、プロの厳しさを学んだ。

ベテランの域に入ったが進化を続ける。「最近は相手をすごく研究するようになった」。今季は規定打席不足ながら打率3割7分7厘、代打でも10打数4安打と結果を出す。「いつ声が掛かってもすぐ準備できるよう、ベンチに座りすぎないことを心がけている」。1000本安打はあくまでも通過点だ。「1年でも長く現役でプレーできるよう頑張りたい。1試合でも多く出て、1本でも多くヒットを打ってみなさんに恩返ししたい」。円熟味を増すベテランが、楽天に欠かせない存在になっている。【野上伸悟】