<谷保さんのアナウンス講座(2)>

少年野球の試合で、親御さんが務めることも多い場内アナウンス。プロ野球、千葉ロッテマリーンズの名うぐいす嬢、谷保恵美さん(53)に「アナウンス講座」として3回にわたってコツをお聞きします。第2回は球場に持参するといい「場内アナウンス七つ道具」を紹介してもらいました。【取材=鎌田良美】

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-スムーズなアナウンス進行に役立つ持ち物はありますか?

「絶対に必要なものが7つあります。スコアブックと4色ボールペンと双眼鏡。あとは時間を見るので電波時計と、選手名鑑と、のどあめ。プロ野球の場合は過去の試合の記録・成績表も持っていますね」

-スコアをつけながら話すのでしょうか?

「そうですね。書かないと、打順と交代が分からなくなってしまいます。でもストライク、ボールのカウントまで追っていると、しゃべり出しが遅れたりするので、いろいろトライしてカウントは書かなくなりました。今は、打席の結果と選手交代。アナウンスに必要なものだけ書いてるんです」

-ペンは4色

「スコアブックをつける時、交代を色分けするためです。最初の交代は青、2回目の交代は緑。3回目は赤。これがなくなったら別のペンで書いたり。交代を言いやすいようにしてるんですよね。審判が来たら一気に書いて、緑なら緑だけを読む。5色あれば5色でもいいくらいです」

-双眼鏡は

「これで選手をチェックしてるんです。ベンチを見て次、代打出そうだなとか、まだ、このピッチャー投げるなとか、そういうのを見ます。セカンドに代走が出た時、審判は指をさすだけなので見えないことも多くて。出てきたら双眼鏡で背番号を追って、誰かを把握しています」

-プロ野球ではありますが、試合結果を毎日スクラップされている

「はい。いつもスポーツ紙のテーブルを切り抜いて貼っています。特にシーズン初めがそうなんですが、どこの守備に就く選手なのかチェックするためです。相手チームのことは特に分からないので。事前に知っていれば『今、内野に代打が出たけど、この人は外野に入る可能性もあるな』とか、『この選手は代走が多いんだ』と予想できるようになります」

-準備が大事

「そうですね。なので、こういう資料、成績とか、ホームランが最近よく出ているなと知っておくとか。遠征が続いて主催試合がしばらくない時期もあるので、よく見てから試合に臨んでいます」

-選手名鑑も携帯

「新加入選手や珍しい名字の選手は、どう読むのかスコアボード係の人と確認しておきます。濁点が付く、付かないだけでも結構いるので。やまざき、やまさき。なかじま、なかしまとか。多分、少年野球だと兄弟で在籍していることが多いと思うんですよ。そうするとアナウンスもフルネームになりますよね。女の子もいたりして。今はホームページ用に成績もきちんと残すでしょうし、お母さん方も大変ですよね」

道具もそろい、さてアナウンス本番。試合中も準備と心構えが必要です。より上達するために、見るべきポイントとは。(つづく)

◆谷保恵美(たにほ・えみ)1966年(昭41)5月11日生まれ、北海道・帯広市出身。90年ロッテオリオンズに経理担当として入社。91年から場内アナウンス担当。1軍公式戦アナウンスは昨年5月18日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)で通算1700試合。連続記録は96年10月1日の近鉄25回戦から現在も継続中で、昨年6月1日の広島戦で1500試合に到達した。16年に引退したサブロー外野手をアナウンスする「サブローーーーー」のコールは千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)の名物だった。広報業務も兼務する。