エースの力投が優勝争いで先勝をもたらした。明大は、6勝1敗、勝ち点3の同率首位で当たった慶大1回戦に森下暢仁投手(4年=大分商)が先発。通算100安打まで残り1本の柳町達三塁手(4年=慶応)が引っ張る相手打線を8安打2失点に抑え、141球で完投勝利した。柳町とは5打席対戦し1四球に封じた。法大に敗れた早大は逆転優勝へ後がなくなった。

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森下は相手の実力を認め、リミッターを外した。「1番打者に一番いい打者が入っている。点を取られたくないし、あと1本で100安打。自分で打たれたくない。抑えたい」と慶大・柳町を強く意識した。

初回に味方が2点先制。その裏の第1打席、先頭の柳町を左飛に仕留め、主導権をたぐり寄せた。力があふれ出たのは、3回の第2打席だ。初球、低めカーブで見逃しを奪うと、カウント1-1から懐へのカットボールで追い込んだ。振れる余地を与えないまま、4球目で思い切り腕を振った。外角への直球はホップする軌道でボール球となったが、150キロで空振り三振。完璧に抑え込んだ。

最後まで上回った。8回に2点差まで迫られ、9回は1死一、二塁を招いた。ここで、5たび、柳町。カウント1-1からカーブを投げ損ねた。小気味よい打球音が響く。が、左翼線を越えるファウルになった。「甘く入って、いい打撃をされた。でも、あれで2ストライク。もらったなと思いました」と動じなかった。次の直球で押し込み中飛に。次打者は右飛で勝ちきった。

5季ぶり優勝へ、慶大は倒さないといけない相手。森下は「ここ2年(慶大から)勝ち点を取れていない。絶対に勝つつもりでいきました」。141球を投げたが「出番があれば(2回戦も)いきます」と力強かった。【古川真弥】

▽明大・善波達也監督(慶大に逃げ切り勝ち)「森下が良い粘りで、最後までやってくれた」