楽天が今季初となるクリーンアップそろい踏みの3発で、両リーグ最多13度目の逆転勝ちを決めた。5番ゼラス・ウィーラー内野手(32)が4点ビハインドの6回に9号ソロで反撃ののろしを上げると、8回には3番浅村栄斗内野手(28)が同点の10号2ラン。4番島内宏明外野手(29)も決勝の4号ソロで続き、勝率を5割に戻した。

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誰ひとり諦めていなかった。まずはウィーラー。5回まで散発2安打と抑え込まれていたロッテ・ボルシンガーのスライダーを左中間スタンドにたたき込んだ。「1発でしっかり仕留められた。これで流れが変わるといい」。助っ人砲が体現した勝利への執念が、チーム全体に波及した。

8回に藤田の適時二塁打で2点差とし、無死二塁で浅村。ロッテのセットアッパー唐川に対し、通算で45打数19安打、打率4割2分2厘をマークしている男は、緩いカーブをしっかりためて左中間に放り込んだ。「最低でもランナーを進めよう、と。序盤に点を取って、もっと投手を楽にしてあげないと。その辺が課題です」。貪欲に勝利を欲する背番号3は、値千金の一撃を冷静に振り返った。

仕上げは島内。追い込まれてからのフォークを泳ぎながら右翼席まで届かせた。「ずっと4番で使ってもらっているので、たまにはこういう試合があってもいいでしょう」とニヤリ。平石監督も「島内は、今までも何回かあったんですよ。抜かれた時に肩甲骨がグイッと出て(ボールを拾い上げる)。久しぶりに出たね。一気に(逆転まで)いきたい場面。素晴らしいホームラン」とうなった。

今季20勝のうち「13」を占める逆転勝ちは両リーグ最多。負ければ今季ワーストの借金2という逆境をはね返してみせた。指揮官も「負けていたら、本当に嫌な流れだった。序盤から優位に進めていきたい中で苦しい展開だったが、よく粘ってくれた」。今年の楽天は、こんな勝ち方もできる。【亀山泰宏】