虎の勢いを、タイガが止めた。DeNA上茶谷大河投手(22)が4月23日から7連敗中だった阪神に土をつけた。

0-0の5回1死三塁、外野フライでも1点の場面。146キロ直球で中谷の内角を突いた。浅い中飛に仕留めて三塁走者をくぎ付けにすると、続く木浪を申告敬遠。メッセンジャーを打ち取り、危機を脱した。ちょうど震度3の地震が発生して球場が揺れたが「知りませんでした」と集中力は最高潮だった。

冷静さがキラリと光った。ストライクゾーンが辛いと見るや、早打ちの阪神打線に真っ向勝負。平均球速145キロ前後の直球をテンポよく投げ込み、8回まで被安打はわずか2。「直球で押していこうというのがありました」と相手先発メッセンジャーが際どいコースにこだわり9四死球と荒れるのを横目に、申告敬遠の1四球のみとスイスイとイニングを重ねた。

ひらめきが余裕に表れた。きっかけは前日24日の練習中。開幕からフォーム固めに苦しみ、直球がしっくり来ない。試行錯誤を繰り返す中、キャッチボール中に直感が働いた。「グラブの左手の使い方。引くところですね」とイメージが降臨。すぐさま投球練習を行うと「これかなと。ブルペンに入って良かった」と浮上の糸口をつかんだ。

最高気温30度の中、9回にも球速147キロを計測。完封目前で3ランを浴びるなど無念の降板も、2勝目を挙げ「投げるスタミナには自信がある。打たれたのは技術的な問題」と反省と手応えを口にした。目指すは新人王と2ケタ勝利。「他の新人の試合もチェックしてます」と負けん気をたぎらせた。【島根純】