首位広島が、負けても強しを印象づけた。巨人に1点差で敗れ、連勝は11で止まったが、7回に3点差を追いついた。その一時同点打は代打長野久義外野手(34)だ。1点返した後の1死満塁で、田原の直球を中前に弾ませた。「みんなでつないでくれたチャンスだったんでね」。4月27日ヤクルト戦以来、自身1カ月ぶりのタイムリーだった。

昨年までの本拠地東京ドームで存在感を見せつけた。3連戦初戦の24日、試合前の打撃練習中、巨人側スタッフの計らいで昨年の登場曲が流された。9回に代打で登場すると、巨人ファンからも声援が飛んできた。中前打で応え「ありがたかった」と話した。この日の同点打を含め東京ドームは2打数2安打。水を得た魚のように活躍している。

5月から上位打線がほぼ固定され、快進撃が始まる中、出番が激減した。代打要員となり、ベンチを温める試合も増えた。一時は打率が2割を切った。11年に首位打者、12年に最多安打のタイトルを獲得した実績からすれば、不本意というしかない。それでも周囲に感情の揺れを見せず、毎試合準備を進めてきた。

代打というスペシャルカードで1度は同点に追いつき、ベンチ裏に敗戦ムードはなかった。84年の球団記録に並ぶ12連勝は逃したが、緒方監督は「いつも通り一丸となってしっかりと戦えた。勝てなかったことは悔しいけど、週明けからまた6連戦。1戦1戦戦うだけ」と前を向いた。猛反撃の勢いをそのままに、赤ヘル軍団は4連覇へ突き進む。【村野森】