泥だらけの主砲が広島の連勝を11で止めた。巨人岡本和真内野手(22)が、1回に12試合ぶりとなる一時逆転の9号3ラン。

同点の8回1死満塁では浅めの中飛で三塁からタッチアップし、タッチをかいくぐってスライディング。リプレー検証の末にセーフが確定する決勝点をもぎ取った。4番がバットと足で貢献し、1分けを挟み5連敗中だった宿敵に競り勝ち、再び2ゲーム差とした。

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浅めの飛球が左中間に上がった瞬間、岡本の耳に「いくぞ」と元木三塁ベースコーチの声が聞こえた。中堅野間の捕球と同時にスタート。送球がやや右にそれた。捕手会沢の動きを見極め、体を左に逃がしながら滑り込んだ。リクエストでも判定は変わらず決勝点をもぎ取った。お立ち台で重信から「最高の中間走とスライディング」と称賛され「重信さんがすごくかえりやすい外野フライを打ってくれたので、楽々かえれた」と笑いを誘った。

沈黙していたバットも目覚めた。先制された直後の1回1死一、二塁。12試合ぶりの9号3ランを左翼席中段にぶちこんだ。4打数無安打の前日は、大勢の報道陣に囲まれ「明日頑張ります」と一言。重圧に苦しむ姿に見えたが、一夜明けると「(昨日の姿は)あえてです」とケロリとし「今日は打ちます」と宣言。1発で有言実行した。

“メジャー対決”を制した。4月17日の広島戦の試合前練習。坂本勇は16日の同戦で強烈な1発を放った広島鈴木に「(エンゼルス)トラウトやん」とメジャー屈指の強打者に例えて声をかけた。隣でやりとりを見つめていた岡本は、その輪に加わった中島から「こっちは(タイガース)ミゲル・カブレラやな」と自身も憧れるMVP2度のスラッガーに例えられた。しのぎを削り合う若き大砲2枚。第3ラウンドで地力を見せつけた。

守備でも6回のピンチでジャンピングキャッチで失点を阻止し、広島戦の連敗を5で止めた。「いつもやられっぱなしだとダメですし、何とか勝ててよかった」と言った。原監督から「非常に攻撃的ないいスライディングをして、柔らかさ、センスを感じた。まさにギリギリのところで勝負しているのが集約された」と評価され「ありがたく受け止めます」と言った。1日の結果で一喜一憂しているようでは、巨人軍の4番は張れない。不動心で大仕事をする。【久保賢吾】