広島が今季5度目のサヨナラ勝ちを挙げた。1-1同点の延長11回、2死一、二塁、野間峻祥外野手(26)が、阪神能見から右越えの決勝打を放った。これで広島は5月20勝4敗1分け。月間20勝と貯金16のダブル球団新記録をマーク。快進撃の5月を、セ・リーグ全球団からサヨナラ勝利を挙げる快挙で締めくり、交流戦へ首位で突入する。

流れを作ったのは先発左腕の床田寛樹投手だ。復調を印象づける7回無失点。序盤から阪神西との投手戦にも1歩も引かなかった。「初回から高さだけを気をつけて、力を入れて飛ばしていきました」。3回まで完全投球で滑り出すと、唯一走者を得点圏に進めた5回2死一、二塁も、西を空振り三振に切った。4試合ぶりに6回以上を投げ抜く、好投で存在感を示した。

先発登板は10試合目だった。1年目の一昨年に手術し、昨年は1軍登板なし。開幕から2カ月、ローテーションとして回るのは初体験。疲労は自然とたまる。ここ数試合は球が高めに浮き、痛打を浴びることも増えた。5月3日まで登板5試合続けてクオリティースタート(投球回6以上、自責3以下)を達成しながら、前回まで3試合続けて達成できずに降板していた。

新境地は鈍感力で乗りきろうとしている。疲れを感じ始める時期にも「僕はあまり分からない」とけろり。同じく初めてローテーション投手として回る後輩アドゥワも「えっ自分では分からないって言っているんですか。うそでしょ」と思わず苦笑いを浮かべる。

鈍感ではあるが、危機感はある。後輩のアドゥワが好投を続け、前日30日は20歳山口がプロ初勝利。「ここ何試合か長いイニングを投げられてなかったし、イニングの途中降板もあったので、今日は先発の役割を果たせて良かったです」。左腕は久しぶりに感じる充実感をかみしめた。若い先発たちが刺激し合いながらチームをさらに上昇させようとしている。【前原淳】