執念は実らなかった。延長戦に持ち込んだが、11回に力尽きた。2死一、二塁。能見篤史投手が投じた外角に逃げるスライダーを野間にすくわれる。前進守備の右翼糸井の頭上を越えていく…。白球は外野を転々。健闘むなしくサヨナラ負け。試合直後の矢野監督は吹っ切れた表情だった。

「いい試合をしたよね。最後はこういう結果になったけど。やるべきことをみんな、しっかり出してくれたし、まあ、これをどう生かすかということになる」

今季6度目の延長戦で初めて敗れ、能見も「甘かったね。ゾーンが高くなってしまった」と悔やんだ。だが、劣勢濃厚の展開をはね返し、首位広島に食い下がった。1点を追う9回2死一塁。代打高山が3度ファウルで粘った末に右前打で出塁。一、三塁に好機を拡大すると、梅野が中崎のツーシームを左前へ。起死回生の同点適時打を放った。

梅野 好投の西さんを敗戦投手にするわけにはいかないという気持ちで打ちにいきました。

序盤からハンディキャップを背負っていた。2回裏守備を終えた福留のもとへ矢野監督らが心配そうに歩み寄るシーンがあった。福留は3回裏守備から途中交代し、試合中にマツダスタジアムを離れた。トレーナーに付き添われ、足を引きずる様子やアイシングなどをしている様子もなかった。右ふくらはぎの張りを訴えて、広島市内の病院で診察を受けた。矢野監督が「ちょっと、そのまま出られるような感じではなかったので、代えた」と説明すれば、清水ヘッドコーチも「詳しいことは、また明日。確認してからでないと話せない」と言いよどんだ。首脳陣も診断を受け、6月1日のプレー可否を検討することになりそうだ。

この日、マツダスタジアムの外野芝は砂がまかれ、普段の足場ではなかったという。ゴロで砂しぶきが上がるなどクッション性の違和感が負傷につながったのか。守備中のアクシデントとみられる。福留は今季、打率2割5分、4本塁打で勝負強さが光る。球界最年長のベテランが離脱すればダメージは大きい。3連勝で止まり、広島戦5連敗となった敗戦以上に不安材料が噴出した。【酒井俊作】