成長著しい。楽天堀内謙伍捕手(22)がソフトバンク11回戦(ヤフオクドーム)の2回2死二、三塁、貴重な追加点となる2点適時二塁打を放った。前日は岸、この日は美馬と経験十分な右腕2人をリードし、今季2度目の同一カード3連戦3連勝に貢献。単独首位で迎える交流戦でも、若い力がチームに刺激をもたらす。

    ◇    ◇    ◇

落ちる変化球を巧みに拾った打球が、切れることなく右翼フェンスを直撃した。堀内の今季3安打は、いずれも日曜日の第1打席に放った2点タイムリー。「たまたまです。まだまだ凡退が多いので…」と言ったが、先発の立ち上がりをバットで援護している。

バットをリードする右腕には、痛々しい手術痕が残る。本格的に捕手になったのは、兄俊吾さんの後を追うように静岡高へ入学してから。東海大翔洋中ではエースだったが、肘を痛めて2年時はほとんど投げられなかった。膝の骨を右肘に移植する大手術を経験。今も真っすぐに伸ばすことができない。プロ入り後も最初のキャンプで早々に離脱。右手有鉤(ゆうこう)骨骨折と有鉤骨体部らせん骨折で手術を受けた。ケガを乗り越えてきた野球人生に大きなチャンスが訪れている。

守備での奮闘も光る。シュートが持ち味の先発美馬はこの日、内角への制球が抜群。序盤は徹底的にソフトバンク打線の懐を突かせて意識を植え付け、5回までパーフェクトに封じた。8回には福田の二盗を防ぎ、数は少ないながら盗塁阻止率を5割に乗せた。「守りの面では少しずつ落ち着いてできてきているし、盗塁も刺せた。そこは自信を持っていきたい」とうなずく。

大黒柱の岸と初めてコンビを組んだ前日は、出したサインに首を振られるシーンも少なくなかった。2回2死一塁、明石を迎えた場面では内角要求に首を振った岸がアウトローに直球を決めて見逃し三振。明石がそれまで外角へのボールに全く反応していなかったこと、内角を狙って制球が甘くなれば“払い打ち”で被弾のリスクもあること…。ベンチで岸から1球に込めた意図を説かれ「勉強になりました」。正捕手の嶋や先輩投手から学ぶことは、いっぱいある。それを伸びしろに変換できるのが、22歳の特権だ。【亀山泰宏】